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検査済証がない建物の売却・購入|住宅ローンや増改築の注意点を解説

〈 ローン/税金/相続/住宅制度 〉

藤原 栞里

筆者 藤原 栞里

【ポジティブが取り柄の総務担当】
不動産知識ゼロからスタートし、「自分が疑問に思ったことをそのまま記事にする」スタンスで毎日ブログを執筆中‼︎難しい売却の話も、同じ目線でわかりやすくお伝えします。




【はじめに】



こんにちは。

中古住宅を探していると、物件自体は気に入っているのに、
「この建物は検査済証が確認できません」と言われることがあります。

普段あまり聞かない言葉なので、

「住宅ローンは組める?」
「将来売るときに困らない?」
「リフォームや増築はできる?」

と不安になりますよね。

しかも少しややこしいのが、検査済証がない理由には、

・単純に書類をなくしているだけ
・そもそも完了検査を受けていない
・建築後に増築や変更がされている

など、いくつかのケースがあることです。

つまり「検査済証がない」という一言だけでは、
その建物が問題のある建物かどうかは判断できません。

今回は、検査済証がない建物でも売却・購入できるのか、
住宅ローンや増改築にどんな影響があるのか、分かりやすく整理していきます。





1.そもそも「検査済証」とは?



まず検査済証とは何なのか確認してみます。

建物を新築するときは、原則として工事を始める前に建築確認を受けます。

簡単にいうと、
「この設計内容で建築基準法などに適合していますか?」という確認です。

そして建物が完成したあとには完了検査を受け、
建築基準関係規定に適合していることが確認されると、
検査済証が交付されます。

つまり、

建築確認
↓
工事
↓
完了検査
↓
検査済証

という流れになります。




2.「確認済証」と「検査済証」は別物



よく似た書類として、確認済証があります。

確認済証は、
工事を始める前の設計内容について確認したもの。

一方、検査済証は、完成した建物について確認したものです。

例えば、

設計上は2階建てだった
↓
工事途中で増築した
↓
完成した建物が設計と違っていた

という可能性もあります。

そのため、
「確認済証があるから完成した建物も問題ない」とは限りません。

中古住宅を購入するときは、
確認済証と検査済証の両方を確認できると安心ですね。




3.検査済証がない建物は売却できる?



結論からいうと、
検査済証がない建物でも売却できるケースはあります。

不動産の売買契約そのものについて、
「検査済証がなければ絶対に売買してはいけない」というルールではありません。

実際、築年数の古い中古住宅では検査済証が確認できないこともあります。

ただし、検査済証がないことによって、

・買主が不安に感じる
・金融機関が融資に慎重になる
・リフォーム時に追加調査が必要になる

などの影響が出る可能性があります。




4.検査済証がない=違法建築ではない



ここは非常に重要です。

検査済証がないからといって、
その建物が必ず違法建築というわけではありません。

特に古い建物では、完了検査を受けていなかったケースも多くありました。

つまり、
建物自体は適法に建てられていても、
完了検査を受けていないという可能性もあるわけです。

ただし反対に、

・増築
・建ぺい率超過
・容積率超過
・接道問題

などによって、
現在の建物が法令に適合していない可能性もあります⚠︎




5.まず確認したいのは「紛失」なのか「未交付」なのか



売主から、
「検査済証がありません」と言われたら、まず確認したいのが、
単純に書類をなくしただけなのかという点です。

検査済証は建築時から何十年も保管することになるため、
引越しや所有者変更などで紛失している場合があります。

この場合、
「手元にない」だけで、
実際には過去に検査済証が交付されている可能性があります。




6.検査済証が交付されたかどうかは確認できる場合がある



検査済証そのものを紛失していても、
行政側の記録から交付状況を確認できる場合があります。

所有者が検査済証を紛失している場合でも、
処分等概要書の閲覧や、台帳記載事項証明書の発行を受けることで、
検査済証の交付状況を確認できるとしています。




7.市役所などで台帳記載事項証明書を確認する



中古住宅を売買する際には、
建築確認や検査済証の履歴を行政で確認することがあります。

自治体によって名称や取得方法は違いますが、
台帳記載事項証明書などを取得することで、

・確認済証交付日
・確認番号
・検査済証交付日
・検査番号

などを確認できる場合があります。

この記録があれば、
現物の検査済証を紛失していても、
「完了検査を受けている建物」であることを確認できる可能性があります。




8.検査済証が交付されていない場合は?



調査した結果、
検査済証の交付記録がないという場合もあります。

この場合は、

・なぜ完了検査を受けなかったのか
・建築確認どおりに建築されているのか
・その後に増築されていないか

などを確認していく必要があります。

特に古い戸建てでは、

・サンルームを増設
・車庫を増築
・バルコニーを拡張
・部屋を増築

など、所有者自身も建築確認が必要だったことを認識せず工事しているケースがあります。




9.検査済証がない建物でも住宅ローンは使える?



買主側で特に気になるのが、住宅ローンですよね。

検査済証がないからといって、
すべての金融機関で住宅ローンが使えないというわけではありません。

ただし金融機関によって判断は異なります。

検査済証がない場合について、
建築基準法に不適合な建物などは住宅ローンの対象とならない場合があると案内されています。

過去の国土交通省調査でも、中古住宅の融資に際して、
多くの金融機関が検査済証を融資判断に活用していたことが報告されています。

そのため購入前に、
利用予定の金融機関へ早めに確認することが重要です。




10.金融機関が気にするのは「担保価値」


住宅ローンでは、購入者の年収や勤続年数だけでなく、
購入する不動産そのものも審査されます。

金融機関は建物と土地に抵当権を設定するため、
万一ローン返済ができなくなった場合に、
その不動産を売却できるかという担保価値も重要です。

検査済証がないことで建物の適法性が確認しにくい場合、

・将来売却しにくい
・再建築・増改築に問題が出る可能性がある

として、金融機関が慎重になることがあります。




11.フラット35ならどうなる?



フラット35の場合、
中古住宅は住宅金融支援機構が定める技術基準に適合している必要があります。

そのため、適合証明が必要になる場合があります。

住宅金融支援機構では、
中古住宅について、検査機関や適合証明技術者が物件検査を行い、
基準を満たすと適合証明書を交付する仕組みがあります。

つまり、
検査済証の有無だけで単純に判断するのではなく、
対象住宅が融資基準を満たせるかを確認することになります。




12.検査済証がないとリフォームできない?



検査済証がない建物でも、
壁紙の張り替えなどの一般的な内装リフォームまで、
すべてできなくなるわけではありません。

ただし、
増築や大規模な改修など
建築確認が関係する工事では注意が必要です。




13.2025年から「既存建築物の現況調査ガイドライン」へ



ここは最近の重要なポイントです。

以前は、
「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」
という制度が使われていました。

2025年4月1日からは、この旧ガイドラインが、
「既存建築物の現況調査ガイドライン」に統合・一本化されています。

検査済証が確認できない既存建築物についても、
図面や現地調査、行政資料などから建築物の状況を調べる仕組みが整備されています。




14.検査済証がない建物を売る場合の注意点



売主側では、
「検査済証がないと売れないから黙っておこう」という対応は避けるべきです。

買主にとって、

・住宅ローン
・増改築
・将来売却

に関係する重要な情報だからです。

売却前に、

・確認済証はあるか
・検査済証の記録はあるか
・建築図面はあるか
・増築履歴はあるか

などを整理しておくと、売却が進めやすくなります。




15.売却前に行政調査をしておくメリット



検査済証が見つからない場合、
買主が見つかってから調べるのではなく、
売却前に調査しておく方が安心です。

例えば、
検査済証の交付記録ありと確認できれば、
「書類を紛失しているだけ」と説明できます。




16.建築確認の図面と現況が違うこともある



中古住宅では、
当初の建築確認図面と、現在の建物が違うことがあります。

例えば、

確認図面ではバルコニー
↓
現在は部屋になっている

といったケースです。

これは増築されている可能性があります。

検査済証がない建物では、
図面と現況を照合することが特に重要になります。




17.既存不適格と違法建築は違う



ここも中古住宅ではよく出てくる言葉です。

既存不適格建築物とは、建築当時は適法だったけれど、
その後法律や都市計画などが変わって、
現在の基準には合わなくなった建物です。

これは、
最初から法律違反だった建物とは違います。

例えば道路後退や建ぺい率などのルールが後から変わった場合に、
既存不適格になるケースがあります。

検査済証がないから違法建築、と決めつけない理由の一つですね。




18.再建築できるかどうかは検査済証とは別問題


検査済証がない住宅を見ると、
「建て替えもできないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、検査済証の有無と再建築できるかは別の問題です。

再建築には、

・道路への接道
・用途地域
・建ぺい率
・容積率

など現在の建築条件が関係します。

検査済証がある建物でも再建築に制限があるケースがありますし、
検査済証がない建物でも再建築可能な土地はあります。




19.検査済証がないと売却価格は下がる?



一概には言えません。

例えば、
検査済証を紛失しただけで交付記録があるのであれば、
影響は比較的小さい場合があります。

一方、

・交付記録なし
・増築履歴不明
・現況が確認図面と違う
・住宅ローンが難しい

となると、
購入できる買主が限られる可能性があります。

買主候補が減れば、価格交渉を受けやすくなることもあります。




20.将来売却するときのことも考える



自分は現金で購入できても、
10年後に売却するときの買主は住宅ローンを利用するかもしれません。

そのとき、

・検査済証がない
・適法性を確認できない

という理由で融資が難しくなれば、将来の売却にも影響します。

中古住宅を購入するときは、
自分が買えるかだけでなく、
次に売れるかという視点も持っておきたいですね。




21.売主が用意しておきたい資料



検査済証がない建物を売却するなら、
できるだけ資料を集めておくことが大切です。

例えば、

・確認済証
・建築確認図面
・台帳記載事項証明書
・登記事項証明書
・固定資産税資料
・増改築時の図面
・リフォーム履歴
・建築士による調査資料

などです。

資料が多いほど、「何も分からない建物」ではなくなります。
買主側も判断しやすくなります。




22.買主が確認したいポイント



検査済証がない中古住宅を購入するときは、

・検査済証は紛失か未交付か
・行政に交付記録があるか
・確認済証はあるか
・建築確認図面が残っているか
・図面と現況が一致しているか
・増築歴がないか
・建ぺい率・容積率に問題がないか
・接道条件は問題ないか
・利用予定の住宅ローンが使えるか
・将来予定するリフォームが可能か

などを確認しておくと安心です。

特に住宅ローンについては、
契約前の事前審査で対象物件について金融機関へ確認しておくことをおすすめします。




23.古い住宅ほど「書類調査」が重要



築40年、50年の住宅では、
現在の所有者自身が建築当時のことを知らないということも珍しくありません。

親から相続した住宅なら、
「父が建てたので詳しいことは分からない」というケースもあります。

だからこそ、
聞き取りだけではなく、

・行政資料
・登記
・図面
・現地

を照合することが大切です。





24.検査済証がない建物の売買で一番大切なこと



検査済証がない物件で一番避けたいのは、
分からないまま売買を進めることです。

「昔の家だから仕方ない」で終わらせるのではなく、
何が確認できて、何が確認できないのかを整理します。

検査済証がないという事実そのものより、
建物の状態が分からないことの方が、売主・買主双方にとってリスクになります。




【まとめ】




検査済証がない建物でも、売却や購入そのものができないとは限りません。

特に築年数の古い住宅では、検査済証が確認できないケースもあります。

ただし、
・単純に書類を紛失しているだけなのか
・そもそも完了検査を受けていないのか

によって意味は大きく違います。

まずは行政資料などから、
検査済証の交付記録が残っていないか確認することが第一歩です。

国土交通省も、台帳記載事項証明書などによって交付状況を調査できるとしています。

本当に検査済証がない場合には、

・住宅ローン
・増改築
・将来の売却
への影響まで確認しておくことが大切です。

また、2025年4月以降は「既存建築物の現況調査ガイドライン」が整備され、
検査済証が確認できない既存建築物についても調査するための考え方が整理されています。

中古住宅は、見た目がきれいだから安心というわけではありません。

特に検査済証がない住宅では、
書類・現地・行政記録を合わせて確認し、
どこまで建物の状態を説明できるかが重要です。

売主側は、売却前に資料を整理する。
買主側は、住宅ローンや将来のリフォームまで考えて確認する。

こうした準備をしておくことで、
検査済証がない物件でも、納得できる不動産取引につなげやすくなるのだと思います。


※本記事は2026年9月時点の国土交通省・住宅金融支援機構等の公表情報をもとにした一般的な解説です。建築基準法への適合性、増改築の可否、住宅ローン審査などは、建築時期、建物形状、自治体、金融機関等によって異なります。具体的な物件については、特定行政庁、建築士、指定確認検査機関、金融機関、不動産会社等へご確認ください。


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