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生前贈与とは?メリットや相続税との違いをわかりやすく解説

〈 ローン/税金/相続/住宅制度 〉

藤原 栞里

筆者 藤原 栞里

【ポジティブが取り柄の総務担当】
不動産知識ゼロからスタートし、「自分が疑問に思ったことをそのまま記事にする」スタンスで毎日ブログを執筆中‼︎難しい売却の話も、同じ目線でわかりやすくお伝えします。



【 はじめに 】



将来の相続について考えたとき、

「元気なうちに子どもへ財産を渡しておきたい」
「住宅購入を考えている子どもを援助したい」
「自宅や土地を誰に引き継ぐか決めておきたい」
「相続のときに家族が困らないように準備したい」

と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このように、自分が生きている間に家族などへ財産を渡すことを、生前贈与といいます。

生前贈与の対象になるのは、現金だけではありません。

土地や建物、マンション、株式などを無償で渡す場合も、生前贈与にあたります。

また、生前に財産を渡していても、その後に相続が発生した時期によっては、
贈与した財産が相続税の計算に加えられる場合があります。

特に土地や建物などの不動産を贈与するときは、贈与税だけでなく、
名義変更のための登記費用や登録免許税、不動産取得税なども考える必要があります。

そのため、生前贈与は「早く財産を渡せる便利な方法」ではありますが、必ず税金が安くなるとは限りません。

贈与する人の今後の生活費や介護費、家族間の公平さ、将来の相続まで考えたうえで進めることが大切です。




 1. 生前贈与とは?



生前贈与とは、財産を持っている人が生きている間に、ほかの人へ財産を無償で渡すことです。

財産を渡す人を贈与者、財産を受け取る人を受贈者いいます。

例えば、次のようなケースが生前贈与に当たります。

* 親が子どもへ現金を渡す
* 祖父母が孫へ住宅購入資金を渡す
* 夫が妻へ自宅の持分を渡す
* 親が子どもへ土地やマンションを渡す
* 株式や投資信託を家族へ移す

贈与は、財産を渡す側が一方的に決めれば成立するものではありません。

「財産を渡します」という贈与者の意思と、
「受け取ります」という受贈者の意思が一致することで成立します。

口頭でも贈与は成立する場合がありますが、
後から家族間で争いになったり、税務署へ説明しにくくなったりすることがあります。

そのため、大きな金額や不動産を贈与するときは、
贈与契約書を作成し、贈与の内容を記録しておくことが大切です。



 

2. 生前贈与と相続は何が違う?



生前贈与と相続は、どちらも財産を家族などへ引き継ぐ方法ですが、財産が移る時期が異なります。

生前贈与は、財産の所有者が生きている間に財産を渡します。

相続は、財産の所有者が亡くなったことによって、相続人などへ財産が引き継がれます。

生前贈与の大きな特徴は、
財産を渡す相手とタイミングを、自分の意思で決めやすいことです。

ただし、相続税と比べて贈与税の税率が高くなる場合があります。

そのため、「生前に渡せば必ず得になる」とは限りません。



 3. 生前贈与の主な方法は2つ



贈与税の課税方法には、大きく分けて暦年課税と相続時精算課税があります。

この二つは仕組みが大きく異なるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。



 4. 暦年課税とは?年間110万円の基礎控除



暦年課税は、贈与税の一般的な計算方法です。

毎年1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から、
基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算します。

1年間に受け取った贈与財産の合計が110万円以下であれば、原則として贈与税はかからず、申告も不要です。

110万円を超える場合は、
原則として贈与を受けた人が翌年2月1日から3月15日までに申告と納税を行います。

例えば、親から1年間に100万円の贈与を受けた場合、ほかに贈与がなければ基礎控除の範囲内です。

一方、1年間に300万円の贈与を受けた場合は、次のように計算します。

**300万円-110万円=190万円**

この190万円が、贈与税を計算する基礎となる金額です。


110万円は贈与する人ごとではない

注意したいのは、110万円の基礎控除は、贈与をする人ごとではなく、
贈与を受ける人ごとに1年間で判断されることです。

例えば、同じ年に父から100万円、母から100万円を受け取った場合、合計200万円の贈与を受けたことになります。

「父から110万円、母から110万円まで非課税」という考え方ではありません。


毎年同じ金額を渡せば安全とは限らない

毎年100万円ずつ贈与していても、最初から「10年間で合計1,000万円を渡す」と約束している場合は、
毎年の贈与ではなく、最初にまとまった金額を受け取る権利を贈与したと判断される可能性があります。

毎年贈与を行う場合は、その都度、贈与契約を結び、
受贈者本人が管理する口座へ振り込むなど、贈与の事実を明確にしておくことが大切です。



 5. 生前贈与の「7年加算」とは?



暦年課税による生前贈与では、
贈与者が亡くなる前の一定期間内に行われた贈与が、相続税の計算へ加算されることがあります。

2024年1月1日以後の贈与については、加算対象期間が従来の3年から段階的に7年へ延長されました。

2026年12月31日までに相続が開始した場合の加算対象期間は、相続開始前3年以内です。

2027年から2030年までに相続が開始した場合は、2024年1月1日から死亡日までが対象となり、
2031年1月1日以後の相続では、原則として相続開始前7年以内まで広がります。

つまり、毎年110万円以下の贈与で贈与税がかからなかったとしても、
贈与者が亡くなる前の加算対象期間内の贈与であれば、相続税の計算へ戻される場合があります。

ただし、延長された4年間分については、贈与財産の合計額から100万円を差し引く仕組みがあります。

生前贈与による相続税対策は、亡くなる直前にまとめて行うのではなく、
早い段階から計画的に始めることが重要です。



 6. 相続時精算課税とは?



相続時精算課税は、生前にまとまった財産を贈与し、
贈与者が亡くなったときに、その財産を相続財産へ加えて相続税を計算する制度です。

原則として、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫などへの贈与で選択できます。

相続時精算課税には、年間110万円の基礎控除と、累計2,500万円までの特別控除があります。

2024年1月1日以後の贈与については、年間110万円までの基礎控除が新しく設けられました。

この年間110万円以内の部分は、原則として贈与税の申告が不要で、
贈与者が亡くなったときも相続財産への加算対象になりません。

年間110万円を超えた部分については、累計2,500万円まで特別控除を利用できます。

ただし、贈与者が亡くなったときは、
原則として特別控除を利用した財産を相続財産へ加えて、相続税を計算します。


◯ 一度選ぶと暦年課税へ戻せない

相続時精算課税を選択すると、
その贈与者から受ける将来の贈与について、原則として暦年課税へ戻すことはできません。

そのため、制度を選ぶ前に、贈与する財産、将来の相続財産、相続税の見込みなどを検討する必要があります。



  7. 生前贈与のメリット



財産を渡す相手と時期を決められる

生前贈与では、贈与者自身が財産を渡す相手とタイミングを決められます。

相続人ではない孫や、長年世話をしてくれた家族などへ財産を渡すことも可能です。

自分の意思を直接伝えながら財産を引き継げる点は、生前贈与の大きなメリットです。


将来の相続財産を減らせる場合がある

暦年課税の基礎控除などを活用して早い時期から贈与を続けることで、将来の相続財産を減らせる場合があります。

ただし、相続開始前の加算対象期間や贈与税の負担も考慮する必要があります。


必要な時期に資金援助ができる

子や孫が住宅を購入するとき、教育費が必要なとき、事業を始めるときなど、資金が必要な時期に援助できます。

財産を受け取る側にとっては、相続まで待つよりも、生前に受け取る方が有効に活用できる場合があります。


相続時の争いを減らせる

贈与者が元気なうちに家族へ説明し、誰に何を渡すかを明確にしておけば、相続時の話し合いを減らせる可能性があります。

ただし、特定の相続人だけに多額の贈与をすると、ほかの相続人が不満を持つこともあります。




 8. 生前贈与のデメリットと注意点



贈与税が高くなることがある

贈与税は、相続税よりも少ない金額から高い税率が適用される場合があります。

一度に多額の財産を贈与すると、
相続で引き継ぐより税負担が大きくなる可能性があります。


家族間の不公平感が生まれることがある

一人の子どもだけに自宅や多額の現金を贈与すると、相続時にほかの家族から不満が出る可能性があります。

生前贈与を行う際は、ほかの財産の分け方や遺言書の内容も合わせて考えましょう。


贈与した財産は簡単に取り戻せない

贈与が成立して財産の所有権が移ると、贈与者の都合だけで返してもらうことはできません。

特に不動産を贈与すると、その後の売却や活用は受贈者の判断となります。



 9. 住宅購入で利用できる贈与税の非課税制度



父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築、購入、増改築のための資金贈与を受けた場合、
一定の要件を満たせば贈与税が非課税になる制度があります。

2024年1月1日から2026年12月31日までの贈与では、
省エネ等住宅の場合は最大1,000万円それ以外の住宅の場合は最大500万円まで非課税となります。

この制度は、暦年課税の基礎控除110万円と併用できる場合があります。

省エネ等住宅について制度の要件を満たせば、合計で最大1,110万円まで贈与税がかからない可能性があります。

ただし、贈与を受ける人の年齢、所得、住宅の床面積、入居期限などの要件があります。

また、税額が0円であっても、この特例を受けるには贈与税の申告書と必要書類を期限内に提出しなければなりません。




 10. 不動産を生前贈与するときの注意点



土地や建物を生前贈与すると、法務局で所有権移転登記を行います。

不動産の場合は、現金の贈与とは異なり、次の費用や税金が発生する可能性があります。

* 贈与税
* 登録免許税
* 不動産取得税
* 司法書士への報酬
* 贈与契約書の作成費用
* 不動産の評価に関する費用

また、住宅ローンが残っている不動産では、
金融機関の承諾なく名義を変更すると、契約上の問題が生じることがあります。

収益物件を贈与した場合は、
その後の家賃収入を受贈者が受け取ることになるため、所得税の申告関係も変わります。

さらに、不動産を共有持分で贈与すると、
将来の売却や建て替えに共有者全員の協力が必要になることがあります。

不動産の生前贈与は、税金だけでなく、将来の利用や売却まで考えて判断することが大切です。




【 まとめ 】



生前贈与とは、財産を持っている人が生きている間に、家族などへ財産を渡すことです。

財産を渡す相手や時期を自分で決められるほか、
早い時期から計画的に行うことで、相続税対策につながる場合があります。

主な課税方法には、次の二つがあります。

* 毎年110万円の基礎控除を利用する暦年課税
* 年間110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除がある相続時精算課税

ただし、贈与税が高くなったり、相続開始前の贈与が相続税の計算へ加算されたりすることがあります。

また、不動産を贈与する場合は、贈与税だけでなく、
登録免許税や不動産取得税、登記費用なども確認しなければなりません。

生前贈与は、財産を早く渡せる便利な方法ですが、すべての人にとって節税になるわけではありません。

贈与する人の生活資金、家族構成、財産の内容、将来の相続税まで考え、
税理士や司法書士などの専門家へ相談しながら進めることが大切です。


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