中古住宅の設備故障と売主責任|契約不適合責任・設備保証・特約を解説の画像

中古住宅の設備故障と売主責任|契約不適合責任・設備保証・特約を解説

〈 不動産のノウハウ 〉

藤原 栞里

筆者 藤原 栞里

【ポジティブが取り柄の総務担当】
不動産知識ゼロからスタートし、「自分が疑問に思ったことをそのまま記事にする」スタンスで毎日ブログを執筆中‼︎難しい売却の話も、同じ目線でわかりやすくお伝えします。




【はじめに】


こんにちは。

中古住宅を購入したあと、

「入居してすぐ給湯器が動かなくなった」
「エアコンをつけたら故障していた」
「食洗機が使えない」
「トイレの温水洗浄便座が動かない」

こんなことが起きたら、
「買ったばかりなのだから、売主に直してもらえるのでは?」と思いますよね。

反対に中古住宅を売る側からすると、
「10年以上使っている給湯器まで、引渡し後に壊れたら自分が責任を負うの?」
と不安になると思います。

重要なのは、
契約時にその設備をどのような状態で引き渡すと約束したのかという点です。

そこで今回は、中古住宅の給湯器・エアコンなどが故障した場合、どこまで売主が責任を負うのか、
引渡し後のトラブルを防ぐ方法まで、私なりに分かりやすく整理していきます。





1.「建物」と「設備」は同じ扱いではない



中古住宅を購入するときには、
建物本体と、住宅設備を分けて考えることが大切です。

例えば建物本体には、

・基礎
・柱
・屋根
・外壁

などがあります。

一方、住宅設備には、

・給湯器
・キッチン
・食洗機
・換気扇
・トイレ
・エアコン
・インターホン

などがあります。

中古住宅の場合、
設備は建物より交換サイクルが短く、すでに10年・15年使用されていることもあります。

そのため、
「中古住宅を買った=設置されている設備すべてが新品同様に保証される」
というわけではありません⚠︎




2.ポイントは「契約した内容と違うかどうか」



現在の民法では、「古いか新しいか」だけではなく、
契約内容に適合しているかが重要になります。

例えば売買契約で、
「給湯器:有・故障なし」として引き渡したのに、実際には引渡し時点ですでに故障していた。

この場合は、契約内容との違いが問題になる可能性があります。

一方、
「給湯器は設備として残すが、経年劣化しており性能保証はしない」
という条件を売主・買主が合意していた場合には、扱いが変わってきます。

つまり中古住宅では、
何が置いてあるかだけでなく、
のような条件で引き渡すのかを確認することが重要になります‼︎




3.給湯器が引渡し翌日に壊れたら売主責任?



よくありそうなケースで考えてみます。

中古戸建てを購入し、
引渡し翌日にお風呂を沸かそうとしたら給湯器が作動しなかった場合です。

この場合、
翌日に壊れたから必ず売主責任とも、
中古だからすべて買主負担とも一概には言えません。

確認するのは、

・引渡し時点で故障していたのか
・契約時にどんな説明をしていたのか
・設備表にどう記載されていたのか
・設備について特約があるのか

などです。

引渡し後に偶然寿命を迎えた設備なのか、
引渡し前から故障していた設備なのかによっても争点が変わります。




4.中古住宅では「設備表」が重要



中古住宅の取引では、売買契約書と一緒に設備表を作成することがあります。

設備表は、
「何を残して、現在どのような状態なのか」を売主・買主で確認するための重要な資料です。

中古住宅では新品ではない設備を引き渡すため、
こうした書類で状態を明確にしておくことがトラブル防止につながります。




5.設備表に「故障なし」と書いてあれば安心?



ここも少し注意が必要です。

「故障なし」というのは通常、
売主が把握している範囲で現在使用できているという意味で使われることが多く、
「引渡しから何年間も故障しないことを保証する」という意味ではありません。

例えば築15年の住宅に、設置後12年経過した給湯器があるとします。
契約時には問題なく作動していても、引渡しから1週間後に寿命で故障する可能性はあります。

中古設備にはこうしたリスクがあります。




6.エアコンや照明を「サービス品」にすることもある



中古住宅では、

・エアコン
・照明器具
・カーテン

などを売主がそのまま置いていく場合があります。

こうしたものを、
サービス品として引き渡すケースがあります。

例えば特約で、
「本物件内に残置するエアコンおよび照明器具はサービス品として現状有姿で引き渡し、
売主は性能・品質等について責任を負わない」

といった内容を定める方法です。

買主にとっては無料で設備を使えるメリットがありますが、
壊れても売主に修理を求めないという条件を含む場合があります。

そのため「付いている設備」と「保証される設備」は分けて確認した方がよいでしょう。




7.個人の売主なら契約不適合責任を免責にできる?



中古住宅の売主が一般の個人である場合、契約内容によっては、
契約不適合責任を負わないという特約を設けることがあります。

特に築年数の古い住宅では、

・建物・設備とも現状有姿
・売主は契約不適合責任を負わない

という条件で売買するケースもあります。

ただし、
免責特約を書けば何を隠してもよいという意味ではありません。

例えば売主が重大な故障を知っていながら、
買主に説明しなかった場合などには、別途責任が問題になります⚠︎

設備の不具合を知っているなら、できるだけ正確に告知することが大切です。




8.売主が宅建業者の場合は扱いが違う



ここは中古住宅売買で非常に重要です。

売主が不動産会社などの宅地建物取引業者で、買主が一般消費者の場合、
個人間売買と同じように自由に責任を免除できるわけではありません。

宅建業法では、宅建業者が自ら売主となる場合、
種類・品質に関する契約不適合責任について、買主に不利な特約を設けることに制限があります。

宅建業者が売主となる既存住宅について、
少なくとも2年間の責任を負う仕組みが示されています。




9.「宅建業者売主=給湯器も必ず2年間保証」ではない



中古住宅について、

・築15年のエアコン
・古い照明器具
・前所有者が設置した食洗機

まで、当然に2年間のメーカー保証と同じ扱いになるわけではありません。

例えば、

・サービス品
・残置物
・保証対象外設備

として明確に合意されているものは、
契約内容そのものを確認する必要があります。




10.売主が故障を知っていた場合はきちんと伝える



例えば、

「給湯器は時々エラーになる」
「食洗機は動くけれど乾燥機能が故障している」
「エアコンから水漏れしたことがある」

ということを売主が知っているのであれば、契約前に伝えた方が安全です。

買主がそれを理解して、
「その状態で購入します」と合意すれば、契約内容として整理できます。

一番避けたいのは、
売主は知っていたけれど買主は知らなかったという状態です。




11.「現状有姿」なら全部買主負担?



中古住宅ではよく、
現状有姿という言葉が使われます。

ただし、
「現状有姿=売主は何が起きても一切責任を負わない」
と単純に考えるのは危険です。

重要なのは契約書全体です。

・契約不適合責任
・設備修補義務
・設備表
特約事項

などを合わせて確認します。

既存住宅の状態について告知書や写真等をもとに当事者双方が客観的に確認し,
その内容を価格交渉や担保責任の免除に反映した場合には、
それが契約内容を構成することがあると示されています。




12.エアコンは特にトラブルになりやすい?



中古住宅ではエアコンがそのまま残っているケースが多いです。

しかしエアコンは、

・製造年が古い
・内部状態が分かりにくい
・引越し後すぐ故障することがある

ため、扱いを明確にしておきたい設備です。

例えば、

・売主撤去
・設備として引渡し
・サービス品として引渡し

のどれにするか決めます。

サービス品であれば、
故障・性能について売主が保証しない旨を特約で明確にしておくと、認識違いを防ぎやすくなります。





13.引渡し前に壊れた場合は?



契約時には正常だった給湯器が、
契約後から引渡しまでの間に故障することもあります。

この場合、

・契約内容
・設備修補に関する条項
・危険負担などの取り決め

によって対応します。

中古住宅の売買契約では、
契約日と引渡し日の間に数週間から数か月空くこともあるため、
引渡し直前にも設備状態を確認しておくと安心です。




14.売主は引渡し前に全部新品へ交換する必要がある?



もちろん、基本的にはその必要はありません。

中古住宅なので、
10年前の給湯器が付いていること自体は不自然ではありません。

買主も中古住宅であることを前提として購入します。

重要なのは、
新品かどうかではなく、契約で約束した状態になっているかです。

古い設備なら、
「経年劣化あり」「現状渡し」など適切に説明することが大切です。




15.買主は内覧時に設備を確認した方がいい



買主側も、
「不動産会社が売っているから全部大丈夫」と思わず、自分でも確認しましょう。

例えば、

・お湯が出るか
・換気扇が動くか
・食洗機が動くか
・インターホンが使えるか
・エアコンは何年製か

などです。

特に購入後すぐ交換が必要になりそうな設備は、
将来の修繕費として予算に入れておくことも重要です。




16.中古住宅は「設備交換費」も予算に入れる



例えば中古住宅を3,000万円で購入するとします。

住宅ローンや諸費用だけを考えていると、
入居直後に、

・給湯器交換
・エアコン交換
・食洗機交換

などが必要になったときに負担が大きくなります。

中古住宅では、
価格+将来の修繕・設備交換費まで考えて資金計画を立てるのがおすすめです。

築年数が経過している住宅ほど、この考え方は大切です。




17.既存住宅売買瑕疵保険で設備も保証される?



中古住宅には既存住宅売買瑕疵保険という制度があります。

ただし、
「瑕疵保険に入っているからエアコンも給湯器も全部保証」というわけではありません。

既存住宅売買瑕疵保険は中古住宅取引における一定の瑕疵への対応として示されていますが、
新築時の瑕疵保険等と設備機器の通常故障は同じものではありません。

保険を利用する場合は、
どの部分が補償対象なのかを確認しましょう。




18.設備保証サービスが付いている中古住宅もある



不動産会社によっては、中古住宅の売却時に、

・給湯器
・キッチン設備
・トイレ

などを対象とした独自の設備保証サービスを用意している場合があります。

これは法律上の契約不適合責任とは別のサービスです。

保証期間や対象機器、上限金額などは会社によって異なります。

中古住宅を購入するときは、
「設備保証がありますか?」と確認してみてもよいでしょう。




19.設備故障が発覚したら勝手に修理する前に連絡



買主が引渡し後に故障を発見した場合、
すぐに高額な修理をしてから、
「10万円かかったので支払ってください」と売主へ請求すると、トラブルになる場合があります。

まず、
不動産会社や売主へ連絡して、

・故障状況
・契約内容
・保証範囲

を確認します。

必要であれば写真やエラー表示なども残しておくとよいでしょう。




20.売主と買主で最も大切なのは「契約前に曖昧さをなくすこと」



設備故障トラブルの多くは、
「売主と買主が違う認識を持っていた」ことから起こります。

例えば、

売主
「古いエアコンなので、おまけで置いていっただけ」

買主
「売買代金に含まれた正常な設備だと思っていた」

という状態です。

そこで重要なのが、

・設備表
・物件状況確認書
・売買契約書
・特約事項

です。

口頭だけではなく、
書面に残しておくことで認識を共有しやすくなります。




21.中古住宅の設備について確認したいチェックポイント



売主・買主ともに、少なくとも以下は確認しておくと安心です。

・どの設備を引き渡すのか
・現在故障している設備はないか
・製造年・使用年数
・サービス品・残置物はどれか
・売主が修理責任を負う設備はどれか
・責任期間はいつまでか
・設備保証サービスの有無
・引渡し直前の状態
・不具合を発見した場合の連絡方法
・売主が宅建業者か個人か

特に、
「壊れたら誰が直すのか」を契約前に確認しておくと安心です。





【まとめ】



中古住宅の設備が引渡し後に故障した場合、

必ず売主が修理するとも、
中古だからすべて買主負担とも一概には言えません。

一番重要なのは、
契約でその設備について何を約束していたのかです。

給湯器や食洗機などを「正常に使用できる設備」として引き渡したのか、
古い設備をサービス品・現状有姿として引き渡したのかによって考え方は変わります。

また、売主が一般個人なのか、宅建業者なのかによってもルールが異なります。
宅建業者が自ら売主となる中古住宅では、
契約不適合責任について買主に不利な特約を自由に設けられるわけではありません。

だからこそ中古住宅の売買では、
「設備がある・ない」だけでなく、
「どんな状態で引き渡し、故障時に誰が対応するのか」まで契約前に決めておくことが大切です。

◯売主側は、把握している不具合をきちんと伝える。

◯買主側は、中古設備には経年劣化や将来の故障リスクがあることを理解して購入する。

◯そして双方で設備表や特約を確認する。

この3つだけでも、引渡し後のトラブルはかなり防ぎやすくなります。

中古住宅は新品ではありません。
しかし、中古だからこそ現在の状態と契約内容をきちんと共有することが、
安心できる不動産取引につながるのだと思います。


※本記事は2026年9月時点の民法・宅地建物取引業法等に基づく一般的な解説です。
設備の契約不適合責任や免責特約の有効性は、売主・買主の属性、売買契約書、設備表、特約、故障原因などによって異なります。具体的な取引については、不動産会社・宅地建物取引士・弁護士等へご確認ください。


不動産のお悩み、お気軽にご相談ください
売却・購入・相続・空き家など、まずはお気軽にお問い合わせください。
電話で相談する
0120-90-5341
✉️ お問い合わせ・無料相談 WEBで来店予約 無料売却査定
対応エリア
枚方市 寝屋川市 交野市 京阪エリア一帯

”〈 不動産のノウハウ 〉”おすすめ記事

  • 住宅ローン本審査に落ちたら売買契約はどうなる?の画像

    住宅ローン本審査に落ちたら売買契約はどうなる?

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 不動産売買契約書とは?初心者でもわかる内容と確認ポイントの画像

    不動産売買契約書とは?初心者でもわかる内容と確認ポイント

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 家を解体する前に知っておきたいこと〜費用・手続き・税金をわかりやすく解説〜の画像

    家を解体する前に知っておきたいこと〜費用・手続き・税金をわかりやすく解説〜

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 農地の売却とは?農地法・農地転用・税金・売却の流れをわかりやすく解説の画像

    農地の売却とは?農地法・農地転用・税金・売却の流れをわかりやすく解説

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 新築住宅の保証は何年?10年保証の範囲・対象外・瑕疵保険までわかりやすく解説の画像

    新築住宅の保証は何年?10年保証の範囲・対象外・瑕疵保険までわかりやすく解説

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 不動産売却で内覧を成功させるコツ|準備・掃除・当日の対応を解説の画像

    不動産売却で内覧を成功させるコツ|準備・掃除・当日の対応を解説

    〈 不動産のノウハウ 〉

もっと見る