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農地の売却とは?農地法・農地転用・税金・売却の流れをわかりやすく解説

〈 不動産のノウハウ 〉

藤原 栞里

筆者 藤原 栞里

【ポジティブが取り柄の総務担当】
不動産知識ゼロからスタートし、「自分が疑問に思ったことをそのまま記事にする」スタンスで毎日ブログを執筆中‼︎難しい売却の話も、同じ目線でわかりやすくお伝えします。




【 はじめに 】



親や祖父母から田んぼや畑を相続したものの、

「自分は農業をしない」
「遠方にあって管理できない」
「草刈りや維持管理が大変」
「このまま持っていても使う予定がない」

という方も多いのではないでしょうか。

そんなときに考えるのが、農地の売却です。

ただ、ここで少しややこしいのが、農地は普通の宅地のように、
「売りたい人」と「買いたい人」が合意すればすぐ売れるというものではないことです。

農地には農地法というルールがあり、

・農地のまま売るのか
・住宅用地などに変えて売るのか
・市街化区域にあるのか
・市街化調整区域にあるのか

によって必要な手続きが変わります。

私も最初は、
「土地なんだから、不動産会社にお願いすれば普通に売れるのでは?」と思っていました。

でも実際には、農地は「誰が買えるのか」「何に使えるのか」を先に確認しないと、
売却方法そのものが決めにくい土地なんですね。





 1.そもそも「農地」とは?



農地というと、
田んぼやをイメージしますが、
法律上は単に登記簿の地目だけで判断されるものではありません。

農地法では、耕作の目的に供される土地が農地として扱われます。

つまり、登記簿上の地目が「田」「畑」であることはもちろん重要ですが、
実際の利用状況も確認されます。

例えば、

・何年も耕作していない
・草が生えている
・駐車場のように使っている

という土地でも、農地法上の扱いがどうなっているかを確認する必要があります。

「今は使っていないから普通の土地として売れる」とは限らないということですね。




 2.なぜ農地は自由に売れないの?



宅地であれば、基本的には売主と買主が合意すれば売買できます。

しかし農地は、食料生産の基盤となる大切な土地です。

そのため、農地が簡単に農業以外の用途へ変わったり、
農業をする意思や能力のない人へ無制限に移転したりしないよう、農地法による規制があります。

農地を売却する場合は、
農地として売るのか農地以外の用途に転用する目的で売るのか
によって手続きが大きく変わります。

ここが農地売却を理解する最初のポイントです。




 3.農地の売却方法は大きく2つ



農地を売却する方法は、大きく分けると2つです。


①農地のまま売却する

例えば、

・田んぼを別の農業者へ売る
・畑を農業法人へ売る

といったケースです。

この場合は、基本的に農地法3条の許可が関係します。



②農地を宅地などに転用して売却する

例えば、

・田んぼを住宅用地として売る
・畑を駐車場や店舗用地として売る

というケースです。

所有権を移転しながら転用する場合は、基本的に農地法5条の手続きが関係します。

この2つの違いを知っておくと、農地売却がかなり分かりやすくなります。




4.農地法3条とは?



農地法3条は、簡単にいうと、
農地を農地のまま売買・貸借するときのルールです。

例えば自分が所有している畑を、近隣で農業をしている人に売却するケースです。

この場合、原則として農業委員会の許可が必要になります。

許可の判断では、買主が取得後に農地を適切に利用できるかなどが確認されます。

つまり、
「農地だから誰でも安く買える」というわけではなく、
取得した人が農地としてきちんと利用することが前提になります。

そのため一般の会社員が、
「将来何かに使うかもしれないので、とりあえず農地のまま買っておこう」
というような取得は簡単ではありません。




5.農地法5条とは?転用して売る場合



一方で、農地を住宅や駐車場など別の用途に変えて、
その土地を買主へ売却するケースでは、農地法5条が重要になります。

例えば、

現在:畑
売却
買主が住宅を建てる

というケースです。

この場合は、
農地の権利移転+農地転用が同時に行われるため、
農地法5条の許可または届出が必要になります。

つまり、

「農地を住宅用地として売りたい」という場合は、
普通の土地売却だけでなく、農地転用の手続きが加わるということですね。




6.ちなみに農地法4条とは?



農地売却の記事なので5条が中心になりますが、よく一緒に出てくるのが農地法4条です。

4条は、
所有者自身が農地を別用途へ転用する場合に関係します。

例えば自分が所有している畑を、

・自分の住宅敷地
・自分の駐車場

に変える場合などです。




7.市街化区域の農地は比較的転用しやすい?



農地売却で非常に重要なのが、その土地が、
市街化区域なのか、市街化調整区域なのかという点です。

市街化区域とは、
すでに市街地になっている区域や、今後優先的・計画的に市街化していく区域です。

この市街化区域内にある農地を転用する場合は、
原則として農地転用の許可ではなく、あらかじめ農業委員会へ届出を行う仕組みがあります。

農地法上、市街化区域内の農地について一定の届出をした場合は転用許可の例外とされています。

そのため市街化区域内の農地は、
一般的に住宅用地などとして検討しやすいケースがあります。

ただし、

道路
用途地域
建ぺい率
容積率
上下水道

など別の確認事項もあります。

「市街化区域だから必ず住宅が建つ」というわけではありません。




8.市街化調整区域の農地は売却が難しい?



市街化調整区域は、原則として市街化を抑制する区域です。

そのため市街化区域と比べて、
住宅や店舗などへの農地転用のハードルが高くなることがあります。

例えば、
農地を買って家を建てたいと思っても、

・農地転用の許可
・都市計画法上の建築許可

など複数の問題をクリアする必要が出てくることがあります。

市街化調整区域の農地を売る場合は、単に周辺の土地価格を見るだけでなく、
「この土地を買った人が実際に何に使えるのか」を確認することが重要です。




9.農地の価格はどうやって決まる?



農地の査定で難しいのが、利用方法によって価値が大きく変わるところです。

例えば同じ1,000㎡の土地でも、
農地としてしか使えない土地と、
住宅用地に転用できる可能性が高い土地では市場価格が大きく違うことがあります。

農地の価格を見るときは、

・立地
・面積
・形状
・接道
・農地転用の可能性
・市街化区域かどうか
・周辺の宅地相場
・上下水道
・高低差

などを総合的に確認します。

つまり、
登記簿上の「田・畑」という情報だけでは価格を判断できない
ということです。




10.上下水道が通っていない場合もある



田畑は住宅地と違って、上下水道などのインフラが整備されていない場合があります。

例えば、

・前面道路に水道管がない
・下水道がない
・引込み工事が必要

というケースです。

住宅用地へ転用できても、

・水道引込み100万円
・造成工事300万円

など多額の費用が必要になれば、買主が負担できる土地価格は下がります。

売却価格を考えるときは、土地そのものだけでなく、
住宅用地にするためにいくら必要なのかを見ることが重要です。




11.農地法の許可前に売買契約をしても大丈夫?



農地売却では、
「許可が出る前に契約していいの?」という疑問があります。

実務では、農地法の許可を停止条件とする売買契約を締結することがあります。

例えば、
農地法5条の許可が得られることを条件として売買契約の効力を発生させる
といった内容です。

許可されなかった場合の扱いを契約書で明確にしておくことが重要です。

農地売買は通常の宅地売買より許認可が絡むため、
不動産会社や行政書士など専門家へ確認しながら進める方が安心です。




12.相続した農地も売却できる?



親や祖父母から田畑を相続したものの、
「農業をする予定がない」というケースもありますよね。

相続によって農地を取得する場合、
通常の売買のような農地法3条の許可は不要ですが、農業委員会への届出が必要となる場合があります。

その後に売却する場合は、

・農地のまま売るのか
・転用して売るのか

によって改めて必要な手続きを確認します。

また2024年4月から相続登記が義務化されています。

相続した農地を売却する場合も、まず所有者名義を整理しておくことが大切です。




13.農地を売ったときの税金は?



農地も土地ですので、売却して利益が出た場合には譲渡所得税が関係します。

基本的な計算は、
売却代金-取得費-譲渡費用-特別控除=課税譲渡所得です。

例えば、

・売却価格1,500万円
・取得費800万円
・仲介手数料など100万円

なら、

1,500万円-800万円-100万円
=600万円

が特別控除前の譲渡所得というイメージです。

実際には利用できる特例などがあるため、個別計算が必要です。




14.農地の所有期間で税率が変わる



土地売却では、所有期間によって、
長期譲渡所得短期譲渡所得に分かれます。

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期、5年以下なら短期です。

一般的な税率は、

長期譲渡所得
所得税15%+住民税5%

短期譲渡所得
所得税30%+住民税9%

となり、これとは別に復興特別所得税が関係します。

そのため「いくらで売れるか」だけでなく、
税金を差し引いて最終的にいくら残るかを考えることが大切です。




15.農地売却には税金の特例もある?



農地の場合、一定の要件を満たす農地の譲渡について、
通常の土地売却とは異なる特別控除制度が利用できる場合があります。

例えば、

・農地の集約化に関係する売却
・農業経営基盤強化促進法などに基づく譲渡
・公共事業による収用

などです。

ただし、
「農地を売ったら必ず特別控除が使える」わけではありません。

売却方法や相手、制度の利用状況などによって適用条件が細かく決められています。

農地売却で大きな利益が出る場合は、
売る前に税理士や税務署へ確認しておく方が安心です。




16.農地がなかなか売れない場合はどうする?



農地は宅地より買主が限られるため、売却に時間がかかることがあります。

その場合は、

・近隣農家へ相談
・隣地所有者へ相談
・農地中間管理機構などの制度を確認
・不動産会社へ買取相談
・転用可能性を調査

など、複数の方法を検討します。

特に小さな農地や細長い土地の場合、
単独では使いにくくても、隣の土地と一緒なら利用価値が高くなることがあります。

一般の不動産ポータルサイトへ載せるだけでなく、
土地の特性に合った売却方法を考えることが大切です。




【 まとめ 】




農地の売却について調べてみると、宅地の売却とはかなり違うことが分かります。

農地の場合、

・農地のまま売る
・住宅用地などに転用して売る

という2つの大きな方向性があります。

農地のまま売却する場合は農地法3条、
転用を目的として権利移転する場合は農地法5条が関係するのが基本です。

さらに、

・市街化区域なのか
・市街化調整区域なのか
・農振農用地なのか
・道路に接しているのか
・住宅を建てられるのか

によって売却のしやすさも価格も大きく変わります。

だからこそ農地売却では、
「この田んぼはいくらで売れる?」と価格だけを見る前に、
「この土地は誰が買えるのか、何に使えるのか」を調べることが重要です。

特に相続した農地の場合、
「農業をしないから必要ない」と思っていても、
市街化区域内で住宅用地として利用できる可能性があれば、不動産として大きな価値を持っている場合もあります。

逆に、農振農用地や市街化調整区域内で転用が難しければ、農地として利用する買主を探す必要があります。

また売却利益が出れば、土地の譲渡所得として税金も関係します。土地・建物の譲渡所得は給与所得などとは分けて計算され、所有期間によって長期・短期の税率が異なります。

農地を売りたい場合は、

**①法令調査
②利用方法の確認
③価格査定
④必要な農地法手続き
⑤売却**

という順番で考えると分かりやすいと思います。

「使っていない農地だから価値がない」

と決めつける前に、まず現在の法令上の条件や転用可能性を調べてみることが、農地売却の第一歩です。

※本記事は2026年9月時点の農林水産省・国税庁等の公表情報をもとにした一般的な解説です。農地法上の許可・届出、農地転用、農振除外、開発・建築の可否は土地の所在地や個別条件によって異なります。具体的な売却では、所在地を管轄する農業委員会・自治体、不動産会社、行政書士、税理士等へご確認ください。

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