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「修繕積立金が安いマンションは大丈夫?長期修繕計画と大規模修繕を解説」

〈 不動産のノウハウ 〉

藤原 栞里

筆者 藤原 栞里

【ポジティブが取り柄の総務担当】
不動産知識ゼロからスタートし、「自分が疑問に思ったことをそのまま記事にする」スタンスで毎日ブログを執筆中‼︎難しい売却の話も、同じ目線でわかりやすくお伝えします。



【はじめに】


中古マンションを探していると、

「このマンション、修繕積立金が安いから毎月の負担も少なくていいな」

と思うことがあります。

でも、マンションについて勉強していくと、
修繕積立金が安い=良いマンションとは限らないことが分かってきました。

例えば今は毎月1万円ほどの修繕積立金でも、将来の大規模修繕に必要なお金が足りなければ、
数年後に値上げされたり、まとまった一時金を求められたりする可能性があります。

反対に、毎月の修繕積立金が少し高くても、
計画的に修繕するための資金がしっかり準備されているマンションなら、長い目で見ると安心材料になります。

購入した後に長く住むことを考えるなら、

「この建物は今後どのように修繕される予定なのか」
まで確認しておくことがとても大切です。





 1.マンションの「長期修繕計画」とは?



長期修繕計画とは、マンションを長期間維持していくために、

「いつ・どこを・どの程度修繕し、そのためにいくら必要になるのか」
をあらかじめ計画したものです。

マンションは鉄筋コンクリート造だから何十年も何もしなくても大丈夫、というわけではありません。

年月が経過すると、さまざまな部分が劣化していきます。

こうした工事を突然行うのではなく、
将来必要になる修繕を予測して資金計画まで作っておくのが長期修繕計画です。

マンションの場合、個人の戸建てと違って区分所有者全員で建物を維持していくため、
計画的な管理が非常に重要になります。




 

2.「大規模修繕工事」と長期修繕計画は同じものではない



よく混同されるのが、

長期修繕計画=大規模修繕工事という考え方です。

長期修繕計画は、
今後数十年間に必要になる修繕工事をまとめた長期的な計画表です。

一方、大規模修繕工事は、その計画などを参考に実際に行われる工事です。

例えば、

・外壁補修
・外壁塗装
・屋上防水
・バルコニー防水
・廊下の防水
・鉄部塗装
・シーリング工事

などをまとめて行うことがあります。




 

3.大規模修繕は「12年ごと」と決まっている?



マンションについて調べていると、

「大規模修繕は12年に1回」というのを見かけます。

ただし、
法律で一律に「12年ごとに必ず工事をしなければならない」と決められているわけではありません。

建物の劣化状況や設備、立地条件、過去の修繕履歴などを確認しながら、
実際に必要な時期を判断します。

海に近いマンションと内陸部のマンションでも建物への影響は違いますし、
同じ築年数でも管理状態によって劣化の進み方は異なります。

そのため、

「築12年だから自動的に工事」ではなく、

建物診断+長期修繕計画+資金状況
を踏まえて判断することが重要です。




 4.長期修繕計画は「30年以上」が一つの重要な基準



現在のマンション管理では、長期修繕計画をどのくらい先まで作っているかも重要です。

国のマンション管理計画認定制度では、認定基準の一つとして、

長期修繕計画の計画期間が30年以上であり、
さらにその残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていることが求められています。

例えば、

「今後10年間だけ修繕計画があります」というだけでは、
建物を長期的に維持する計画としては十分とはいえません。




 5.一度作った長期修繕計画をそのまま使い続けてはいけない



長期修繕計画は、一度作成したら終わりではありません。

物価や人件費が変われば工事費も変わります。

また、

・想定より外壁の劣化が進んだ
・給排水管を早めに交換する必要が出た
・エレベーター更新費が上がった
・機械式駐車場を撤去することになった

など、実際のマンションではさまざまな変化があります。

そのため国土交通省のガイドラインでは、
長期修繕計画についておおむね5年程度ごとに調査・診断を行い、見直しを検討することが重要とされています。

令和5年度マンション総合調査では、
5年を目安として定期的に計画を見直しているマンションは約63%でした。

逆に言えば、まだ定期的な見直しが行われていないマンションもあります。




 

6.修繕費はどこから出す?「修繕積立金」の仕組み



大規模修繕には数千万円、マンションの規模によっては億単位の費用が必要になることもあります。

そこで区分所有者から毎月集めているのが修繕積立金です。

マンションを所有すると一般的に、

・管理費
・修繕積立金

を毎月支払います。

管理費は、

・共用部分の清掃
・管理員
・エレベーター保守
・共用部分の電気代

など日常的な管理に使われます。

一方、修繕積立金は将来の大規模修繕などに備えるためのお金です。

つまり、

◯管理費=今のマンションを管理する費用

◯修繕積立金=将来のマンションを守るための費用

というイメージです。




 7.修繕積立金が不足しているマンションは意外と多い



中古マンションを購入する際に特に確認したいのが、修繕積立金の残高です。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、長期修繕計画上の予定積立残高に対して、

不足している:36.6%

不足していない:39.9%
という結果でした。

積立金が不足すると、

・修繕積立金の値上げ
・一時金の徴収
・工事内容の縮小
・修繕時期の延期
・金融機関からの借入れ

などを検討することになります。

そのため、

「修繕積立金が安いマンション=お得」とは限りません⚠︎




 8.修繕積立金には「均等積立」と「段階増額」がある



修繕積立金には代表的に2つの考え方があります。

一つは、将来必要になる金額を見込んで、
できるだけ一定額を積み立てていく均等積立方式です。

もう一つが、購入当初は金額を低めに設定し、数年ごとに増額していく段階増額積立方式です。

令和5年度マンション総合調査では、

均等積立方式:40.5%
段階増額積立方式:47.1%

となっており、比較的新しいマンションほど段階増額方式が多い傾向があります。

新築マンションの広告で、
「修繕積立金 月7,000円」となっていても、
10年後、20年後も同じとは限らないということですね。



 

9.マンションの修繕は誰が決める?



マンションの共用部分は、

「理事長が修繕したいと言ったから自由に工事できる」というものではありません。

マンションには区分所有者で構成される管理組合があります。

日常的な管理については理事会などが動きますが、
大規模修繕や修繕積立金の変更など重要な事項については、
管理規約や区分所有法に基づき、総会で決議することになります。

そのためマンションを購入すると、

「自分の部屋だけ所有している」という感覚ではなく、
マンション全体の管理に参加する立場になるということも理解しておきましょう。




10.2026年4月からマンションの「総会ルール」も変わった



2026年4月1日から、改正区分所有法を含むマンション関係法が施行されています。

改正では、マンション管理の円滑化を目的として、
総会における多数決の考え方などが見直されました。

例えば通常の共用部分の管理などについて、
改正後は原則として出席した区分所有者とその議決権の過半数を基本として決議できる仕組みが設けられています。

また、共用部分の変更についても一定の場合には決議要件を緩和できる仕組みがあります。

ただし、実際の決議方法は各マンションの管理規約にも関係します。

2026年以降に中古マンションを購入する場合は、
管理規約が法改正に対応しているかという点も今後重要になってきそうです。




11.専有部分と共用部分の違い



マンションの修繕で分かりにくいのが、

「自分で直すところ」と「管理組合で直すところ」の違いです。

一般的には、

・室内の床
・壁紙
・キッチン
・トイレ
・浴室

などは専有部分として所有者が修繕します。

一方、

・建物外壁
・屋上
・共用廊下
・階段
・エントランス
・エレベーター

などは共用部分として管理組合が維持管理します。

ただし、窓や玄関扉、バルコニーなどは見た目だけでは判断しにくい部分があります。

例えばバルコニーは自分だけが使用していても、
一般的な管理規約では共用部分として扱われ、専用使用権が設定されているケースがあります。

そのため、

「自分の家だから勝手にサッシを交換しよう」とはできない場合があります。

必ずそのマンションの管理規約や使用細則を確認しましょう‼︎




12.リフォームにもマンション独自のルールがある



中古マンションを購入してリフォームする場合にも注意が必要です。

マンションによっては、

・フローリングの遮音等級
・工事可能時間
・工事車両の駐車場所
・エレベーター使用方法
・近隣住戸への告知
・管理組合への事前申請

など細かなルールがあります。

さらに、専有部分の工事であっても共用配管や構造躯体に関係する工事は自由にできないことがあります。

中古マンションを購入して、
「壁を全部壊して間取り変更しよう」と思っていたのに、
構造や規約上できなかった、ということにならないよう、
リフォーム予定がある場合は購入前に管理規約を確認しておくことが大切です。




13.管理計画認定制度



マンション管理について調べていると、
「管理計画認定マンション」という言葉を見ることがあります。

これはマンション管理適正化法に基づき、
一定の管理基準を満たしているマンションについて、地方公共団体が管理計画を認定する制度です。

現在の認定基準では、

・総会を年1回以上開催している
・管理規約を作成している
・管理費と修繕積立金を区分して経理している
・修繕積立金を他の会計へ流用していない
・長期修繕計画が30年以上ある
・計画期間中に大規模修繕が2回以上予定されている

など、複数の条件があります。

つまり、単に建物がきれいというだけではなく、
管理組合の運営や財務状況、長期修繕計画まで含めて管理状態を見る制度です。





14.「総会議事録」



個人的に中古マンション購入時にぜひ確認したいと思うのが総会議事録です。

総会議事録を見ると、

「修繕積立金を値上げする予定がある」
「機械式駐車場に大きな修理費が必要」
「雨漏りについて協議している」
「大規模修繕の見積もりを取っている」

など、販売図面だけでは分からない話が記載されていることがあります。

長期修繕計画が未来の計画なら、
総会議事録は現在そのマンションで何が問題になっているのかを知る資料です。




15.大規模修繕の直前だから悪いマンションとは限らない



「大規模修繕が来年なら、お金がかかりそうだからやめた方がいい?」
と思うかもしれません。

しかし、大規模修繕が近いこと自体が悪いわけではありません。

大切なのは、

その工事費を支払えるだけの修繕積立金があるかです。

例えば大規模修繕を予定していても、必要な資金が十分に準備されているなら、
計画的に管理されているマンションとも考えられます。

反対に、修繕工事の予定がないから安心とも限りません。

本当は修繕が必要なのに、資金不足で工事を先送りしている可能性もあります。

「いつ工事するか」だけではなく、
なぜその時期なのか、資金は足りているのかを見ることが大切です。





【 まとめ 】




マンションを購入するとき、
室内がきれいだったり、間取りが気に入ったりすると、どうしてもそこに目が向きます。

でも、実際に購入すれば、
自分の部屋だけではなくマンション全体と長く付き合っていくことになります。

そのマンションが、

・これからどこを修繕するのか。
・そのためのお金は準備されているのか。
・修繕積立金は将来どのくらいになるのか。
・管理組合できちんと話し合われているのか。

こうした部分を確認することが、将来の思わぬ負担を防ぐことにつながります。

特に、「修繕積立金が安いからお得」とは限らないという点は覚えておきたいところです。

現在の負担が少なくても、
必要な修繕費が不足していれば、将来の値上げや一時金につながる可能性があります。

中古マンションを購入するときには物件価格だけを見るのではなく、

長期修繕計画・修繕積立金・修繕履歴・管理規約・総会議事録まで確認してみると、
そのマンションがこれまでどのように管理され、これからどのように維持されていく予定なのかが見えてきます。

そして2026年4月からは改正区分所有法を含むマンション関係法も施行され、
総会や共用部分の管理に関するルールも変わっています。

マンションは、購入した部屋だけで完結する不動産ではありません。

「自分の部屋を買う」と同時に「建物全体の管理にも参加する」
という視点を持ってマンションを選ぶことが、長く安心して暮らすための大切なポイントだと思います❇︎


※本記事は2026年8月時点の国土交通省などの公表情報をもとにした一般的な解説です。マンションごとに管理規約、使用細則、長期修繕計画、修繕積立金、総会の決議内容は異なります。実際に中古マンションを購入する際は、対象物件の管理関係資料を個別にご確認ください。

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