不動産売却で値引き交渉されたらどうする?価格交渉の相場と対応方法の画像

不動産売却で値引き交渉されたらどうする?価格交渉の相場と対応方法

〈 不動産のノウハウ 〉

藤原 栞里

筆者 藤原 栞里

【ポジティブが取り柄の総務担当】
不動産知識ゼロからスタートし、「自分が疑問に思ったことをそのまま記事にする」スタンスで毎日ブログを執筆中‼︎難しい売却の話も、同じ目線でわかりやすくお伝えします。



【はじめに】


不動産を売却する際、希望する価格でそのまま契約が決まるとは限りません。
購入を検討している方から、売出価格について相談を受けるケースもあります。

例えば、3,000万円で売り出している物件に対して、

「2,900万円なら購入したい」
「あと50万円下がれば決めたい」

といった申し出が入ることがあります。

そんなとき売主として悩むのが、「この価格交渉に応じるべきなのか」ということではないでしょうか。

せっかく購入希望者が現れたので逃したくない一方で、
簡単に値下げして後から「もう少し高く売れたのでは?」と後悔するかもしれません。

実は、不動産売却の価格交渉には一律の値引き額や決まった正解がありません。

だからこそ、値引き額の目安だけでなく、
不動産相場や販売期間・購入希望者の条件まで含めて判断することが大切になります。

今回は、不動産売却の価格交渉はどれくらいが目安なのか、売出価格を決めるポイントまで、
不動産初心者の私なりに分かりやすく整理していきます。





1.不動産売却の「価格交渉」とは?



不動産売却の価格交渉とは、
購入希望者が売主に対して、売出価格より低い金額で購入できないか相談することです。

例えば、売出価格が3,500万円の中古戸建に対して、

「3,400万円であれば購入します」という購入申込みが入るケースです。

この場合、100万円の価格交渉になります。

ただし、買主が希望する価格を伝えたからといって、売主が必ず応じなければならないわけではありません。

売主には、

「その金額なら売ります」
「50万円までなら下げます」
「今回は値引きしません」

と判断する自由があります。

最終的には売主と買主双方が合意した価格で売買契約が成立します。

つまり、売出価格は募集するときの価格、成約価格は実際に契約した価格という違いがあります。




2.不動産売却の価格交渉はいくらくらいが平均?



不動産売却の値引きについて「全国平均○万円」といった統一された数字はありません。

物件価格が1,500万円なのか5,000万円なのかでも、100万円という金額の意味がまったく違うからです。

そのため、
不動産では金額より「売出価格に対して何%下がったか」を見ることがあります。

参考になるデータの一つが、中古マンションの「価格乖離率」です。

価格乖離率とは、

(成約価格-最初の売出価格)÷最初の売出価格×100

で表され、売出価格と実際の成約価格がどの程度違ったかを見る数字です。


例えば3,000万円の売出価格に対して4%なら約120万円です。

ただし、この数字をそのまま「値引き交渉の平均」と考えるのは正確ではありません。

途中で売主自身が価格変更したケースなども含まれるため、
実際の買付時の値引き交渉額そのものを示す数字ではないからです。



3.100万円の値引きは大きい?物件価格によって意味が変わる



不動産では「100万円値引きしてください」と言われると、かなり大きな金額に感じます。

しかし割合で考えると印象が変わります。

例えば、

2,000万円の物件から100万円値引き
→ 5%

3,000万円の物件から100万円値引き
→ 約3.3%

5,000万円の物件から100万円値引き
→ 2%

です。

同じ100万円でも、物件価格によって値引き率は違います。




4.価格交渉が入りやすいのはどんな物件?



すべての物件に価格交渉が入るわけではありません。

売り出して数日で複数の問い合わせが入る人気物件であれば、値引きなしの満額で契約になることもあります。

一方、価格交渉が入りやすい物件には一定の傾向があります。

例えば、

・売出価格が周辺相場より高い
・数か月以上売れていない
・リフォームが必要
・築年数が古い
・雨漏りや設備故障がある
・境界確定や解体など追加費用が必要
・周辺に似た競合物件が多い
・売主が早期売却を希望している

といった場合です。

購入希望者も周辺物件を比較しています。

同じマンション内で、

A室:3,200万円
B室:2,980万円

という物件があれば、
A室について価格交渉をしてB室と近い金額にならないか考えるのは自然です。

だからこそ、価格交渉への対応を考える前に、
そもそもの売出価格が適正かどうかが重要になります‼︎




5.販売開始直後の価格交渉は急いで応じなくてもいい?



不動産売却では、販売開始からの期間も重要です。

例えば、3,000万円で販売を開始して3日後に、

「2,850万円なら買います」という申込みが入ったとします。

この時点で問い合わせが多く、週末にも複数の内覧予約が入っているなら、
すぐ150万円下げる必要はないかもしれません。

ほかの購入希望者から満額に近い申込みが入る可能性があるからです。

一方、販売を始めてから半年ほど経っても問い合わせや内覧が少なく、
ようやく具体的な購入希望者が現れた場合は、状況が少し変わります。

同じ150万円の値引きでも、販売開始直後と半年後では、その重みが変わってくるということですね。

過去の中古マンションの調査でも、
売却期間が長くなるほど最初の売出価格と成約価格の乖離が大きくなる傾向が確認されています。




6.売却開始から3か月は一つの目安になる



不動産会社と締結する専属専任媒介契約や専任媒介契約では、有効期間を3か月以内とするルールがあります。

そのため、不動産売却では「最初の3か月」を一つの販売期間として考えることがあります。

過去の首都圏中古マンションについて、
売出開始から3か月以内で成約した物件では、最初の売出価格から平均約4%程度下がって成約していたという分析もあります。

もちろん現在の市場やエリアによって状況は異なります。

重要なのは、

・1か月目に問い合わせは何件あったか
・内覧は何組だったか
・2~3か月経っても反響があるか

という販売活動の結果です。

「3か月経ったから必ず値下げする」のではなく、問い合わせ状況を見ながら価格を見直すのがポイントです。




7.売出価格を高く設定しすぎると価格交渉が大きくなることも



売主としては、当然できるだけ高く売りたいですよね。

そのため査定価格が3,000万円だったとき、

「最初は3,500万円で出してみよう」と考えることもあります。

しかし、周辺の類似物件が3,000万円前後なら、購入希望者から見ると割高です。

結果として、

問い合わせが少ない
内覧が入らない
3,300万円へ値下げ
さらに3,150万円へ値下げ
最終的に3,000万円以下で成約

という流れになることもあります。

最初から少し高めに設定すること自体が悪いわけではありません。

ただし、「値引きされる前提だから高くしておこう」と大幅に上乗せすることには注意が必要です。




8.「すぐ契約するから値引き」は検討する価値がある?



購入希望者から、

「100万円下げてもらえるなら、今日購入申込書を書きます」と言われることがあります。

これは売主にとって一つの判断材料になります。

例えばこの購入者を断り、その後3か月売れなければ、
その間もマンションなら管理費・修繕積立金、戸建や土地なら固定資産税などの保有コストが続きます。

さらに最終的に100万円以上値下げして売ることになれば、

「あの時売っておけばよかった」という可能性もあります。

反対に、人気エリアで問い合わせが多いなら、急いで値引きする必要はないでしょう。

値引き額と、売れずに保有し続けるリスクを比較することがポイントです。




9.100万円の値引きではなく「端数交渉」という方法もある



不動産売買で比較的まとめやすいのが端数部分の価格交渉です。

例えば、

3,080万円 → 3,000万円
2,980万円 → 2,950万円
4,050万円 → 4,000万円

といった交渉です。

買主にとっては、

「3,000万円を切った」
「4,000万円ちょうどになった」

という心理的な納得感があります。

売主側も、大幅な値引きより判断しやすくなります。

そのため売出価格を決める際に、

「最低でも3,000万円は手元に残したいので、3,080万円で販売してみよう」

というように、ある程度交渉余地を持たせる考え方もあります。




10.平均価格だけで自宅の価値を判断しない



記事のテーマとして「平均価格」も気になるところですが、不動産の場合は平均値だけで判断するのは危険です。

同じ市内でも、

・駅徒歩5分と20分
・南向きと北向き
・築5年と築30年
・整形地と旗竿地

では価格が変わります。

そのため、

地域の平均価格 → 大まかな相場

近隣の成約事例 → より具体的な相場

個別査定 → 自分の不動産の売却価格

という順番で確認するのがおすすめです。




11.売主が最初に決めておきたい「3つの価格」



価格交渉で迷わないためには、売却を始める前に3つの価格を考えておくと分かりやすいです。

1つ目は希望価格。

「できればこの金額で売りたい」という価格です。

2つ目は現実的な成約価格。

周辺の成約事例などから、不動産会社と相談して予想する価格です。

3つ目は最低売却価格。

住宅ローン残高、住み替え資金、売却費用などを考えて、

「これ以下では売らない」

と決めておく価格です。

例えば、

希望価格:3,200万円
想定成約価格:3,050万円
最低売却価格:2,950万円

と決めておけば、

3,000万円の購入申込みが入ったときにも冷静に判断しやすくなります。




12.住宅ローンが残っている場合は特に注意



価格交渉に応じる前に必ず確認したいのが住宅ローン残高です。

例えば、

住宅ローン残高:2,900万円
売却価格:3,000万円

だったとします。

一見100万円残りますが、
実際には売却時に仲介手数料、抵当権抹消費用、印紙代などが必要になる場合があります。

そこで200万円値引きして2,800万円になれば、売却代金だけでは住宅ローンを完済できない可能性があります。

そのため、

「この価格で売ったら、最終的に手元にいくら残るのか」を計算したうえで価格交渉に応じましょう。




12.住宅ローンが残っている場合は特に注意



不動産売却では、

「3,000万円より3,100万円で売れた方が成功」と思いがちです。

もちろん価格は重要です。

しかし、

半年間売却活動を続けて3,100万円で売却するのと、

1か月で3,050万円で売却するのでは、どちらが良いかは人によって違います。

住み替え期限、固定資産税、管理費、住宅ローン返済、空き家管理などを考えると、
50万円高く売るために半年待つことが必ずしも得とは限りません。

不動産売却では、価格・期間・条件の3つを合わせて判断することが大切だと感じました。




【まとめ】



不動産売却で価格交渉が入ると、
どうしても「100万円も値引きするのはもったいない」と金額だけに目が行きがちです。

しかし、大切なのはその物件の相場や販売期間、問い合わせ状況、売却期限まで含めて考えることです。

販売開始直後で問い合わせが多ければ、値引きを断る選択もあります。

反対に、長期間売れておらず、条件のよい購入希望者から具体的な申込みが入ったのであれば、
多少価格を譲ることで売却を確定させるメリットがあります◎

売却期間が長くなるほど売出価格と成約価格の差が広がる傾向を示した中古マンションの調査もあります。

不動産には一つとして同じ物件がないため、「価格交渉は○万円までなら正解」という決まりはありません。

売却前に「希望価格」「想定成約価格」「これ以下では売らない価格」を決めておき、
実際に購入申込みが入ったときは金額だけでなく、引渡し時期やローン状況なども含めて判断しましょう✳︎

最終的に大切なのは、値引きをしたかどうかではなく、自分が納得できる条件で売却できたかどうかです。

”〈 不動産のノウハウ 〉”おすすめ記事

  • 「修繕積立金が安いマンションは大丈夫?長期修繕計画と大規模修繕を解説」の画像

    「修繕積立金が安いマンションは大丈夫?長期修繕計画と大規模修繕を解説」

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 家の維持費はいくら?戸建てとマンションの年間費用・修繕費を徹底比較の画像

    家の維持費はいくら?戸建てとマンションの年間費用・修繕費を徹底比較

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 中古マンション入居6日後に排水管が故障|売主の契約不適合責任が認められた判例の画像

    中古マンション入居6日後に排水管が故障|売主の契約不適合責任が認められた判例

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 定期借地権とはどんな制度?3つの種類と契約期間をわかりやすく解説の画像

    定期借地権とはどんな制度?3つの種類と契約期間をわかりやすく解説

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 貸主が修繕しない場合も家賃は必要?連帯保証人への未払い賃料請求が認められた裁判例の画像

    貸主が修繕しない場合も家賃は必要?連帯保証人への未払い賃料請求が認められた裁判例

    〈 不動産のノウハウ 〉

  • 角地とはどんな土地?メリット・デメリットをわかりやすく解説の画像

    角地とはどんな土地?メリット・デメリットをわかりやすく解説

    〈 不動産のノウハウ 〉

もっと見る