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不動産を売却したら確定申告は必要?手続きの流れと注意

〈 不動産のノウハウ 〉

藤原 栞里

筆者 藤原 栞里

【ポジティブが取り柄の総務担当】
不動産知識ゼロからスタートし、「自分が疑問に思ったことをそのまま記事にする」スタンスで毎日ブログを執筆中‼︎難しい売却の話も、同じ目線でわかりやすくお伝えします。




【はじめに】



不動産を売却したあとに気になるのが、確定申告が必要なのかという点です。

不動産売却によって利益が出た場合は、原則として売却した年の翌年に確定申告が必要です。

また、利益が出ていない場合でも、
マイホームの売却損に関する特例や、税金を軽減する特例を利用するために申告が必要になることがあります。





1.不動産売却後に確定申告が必要になるケース



不動産を売却したすべての方が、必ず確定申告をしなければならないわけではありません。

基本的には、不動産を売って譲渡所得、つまり売却による利益が生じた場合に確定申告が必要です。

譲渡所得は、次のように計算します。

譲渡所得=売却代金-取得費-譲渡費用-特別控除額

売却価格が購入価格より高かったとしても、
仲介手数料や登記費用、建物の減価償却などを反映すると、実際には利益が出ていない場合もあります。

反対に、住宅ローンの残債が多く残っていて手元にお金がほとんど残らなくても、
税務上は利益が出ていることもあります。

そのため、確定申告の必要性は「売却後に手元へいくら残ったか」ではなく、
税法上の譲渡所得が発生しているかどうかで判断します。

また、マイホームを売却して3,000万円の特別控除を使う場合は、
控除後の利益がゼロになるとしても確定申告が必要です。

特例は自動的に適用されるわけではないため、申告を忘れないようにしましょう。



2.不動産売却で利益が出ているかを計算する方法



不動産の確定申告で最初に行うのが、譲渡所得の計算です。


⚪️売却代金とは

売却代金は、売買契約書に記載された不動産の売買価格です。

固定資産税や都市計画税の精算金を買主から受け取っている場合は、
税務上、譲渡収入に含めて計算するケースがあります。

契約書や決済明細を確認し、売却時に受け取った金額を整理しておきましょう。


⚪️取得費とは

取得費は、不動産を購入したときにかかった費用です。

主なものには、次のような費用があります。

・土地や建物の購入代金
・購入時の仲介手数料
・登記費用の一部
・不動産取得税
・印紙税
・土地の造成費用
・建築費

ただし、建物の取得費は、購入代金をそのまま使うのではありません。

建物は使用や時間の経過によって価値が減少すると考えられるため、
所有期間に応じた減価償却費相当額を差し引いて計算します。
土地は減価償却しません。

購入時の契約書や領収書が見つからず、取得費が分からない場合は、
売却代金の5%を概算取得費として計算できることがあります。

しかし、実際の購入費用が売却代金の5%を大きく上回る場合、税額が高くなる可能性があるため、
古い契約書や通帳、住宅ローンの資料などをできるだけ探すことが大切です。


⚪️譲渡費用とは

譲渡費用は、不動産を売却するために直接かかった費用です。

代表的なものには、次のような費用があります。

・売却時の仲介手数料
・売買契約書に貼付した印紙代
・売却のために行った建物の解体費
・測量費
・立退料
・売却するために支払った一定の違約金

一方、固定資産税、日常的な修繕費、住宅ローンの返済額、管理費などは、一般的には譲渡費用として認められません。



3.長期譲渡所得と短期譲渡所得で税率が変わります



不動産売却による譲渡所得は、給与所得や事業所得とは分けて税金を計算する分離課税です。

税率は、不動産を所有していた期間によって異なります。


⚪️長期譲渡所得

売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えている場合は、長期譲渡所得になります。

長期譲渡所得の税率は、原則として次のとおりです。

所得税:15%
住民税:5%
復興特別所得税:所得税額の2.1%

合計すると、実質的な税率は約20.315%です。


⚪️短期譲渡所得

売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得になります。

短期譲渡所得の税率は、原則として次のとおりです。

所得税:30%
住民税:9%
復興特別所得税:所得税額の2.1%

合計すると、実質的な税率は約39.63%です。

ここで注意したいのが、
単純に購入日から売却日までが5年を超えていれば良いわけではないことです。

判定日は、売却した年の1月1日です。

例えば、2021年中に取得した不動産を2026年中に売却した場合、
2026年1月1日時点では所有期間が5年を超えていないことがあり、短期譲渡所得になる可能性があります。

相続や贈与で取得した不動産は、
原則として被相続人や贈与者が取得した時期を引き継いで所有期間を判定します。

自分が相続してからの年数だけで判断しないようにしましょう⚠︎





4.マイホームなら3,000万円特別控除を使える場合があります



自分が住んでいたマイホームを売却した場合、
一定の条件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。

これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除といいます。

例えば、譲渡所得が2,000万円だった場合、特例を利用できれば控除後の課税譲渡所得はゼロになります。

譲渡所得が4,000万円なら、3,000万円を差し引いた1,000万円が課税対象になります。

この特例は、所有期間の長さにかかわらず利用できる可能性があります。
ただし、主な要件として、次のような点を確認する必要があります。

・現在住んでいる自宅を売却したこと
・以前住んでいた住宅の場合、一定期間内に売却したこと
・親子や夫婦など、特別な関係にある相手への売却ではないこと
・過去に同じ特例などを利用していないこと
・投資用物件や一時的に入居しただけの住宅ではないこと

以前住んでいたマイホームでも、
住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するなど
一定の条件を満たせば対象になる場合があります。



5.所有期間10年超のマイホームには軽減税率の特例もあります



売却した年の1月1日時点で、マイホームの所有期間が10年を超えている場合は、
一定の条件を満たすことで、長期譲渡所得の税率をさらに軽減できる可能性があります。

課税長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分については、
所得税10%、住民税4%の軽減税率が適用されます。

6,000万円を超える部分には、通常の長期譲渡所得の税率が適用されます。

この軽減税率の特例は、3,000万円特別控除と併用できる場合があります。

例えば、まず譲渡所得から3,000万円を控除し、
残った課税譲渡所得に対して軽減税率を適用する流れです。

長く住んだ自宅を売却して大きな利益が出た場合は、
税負担を抑えられる可能性があるため、所有期間を正確に確認しておきましょう。



6.相続した空き家を売却した場合の特例



相続した不動産を売却した場合も、基本的には譲渡所得の計算が必要です。

一定の要件を満たす被相続人の居住用家屋やその敷地を売却した場合は、
譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる、相続空き家の3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。

一定の要件を満たす売却が対象で、
適用期限や建物の建築時期、耐震性、売却価格、相続後の利用状況などについて条件があります。

また、相続人が3人以上の場合は、
1人当たりの控除上限が2,000万円となるケースがあります。

相続した住宅を売る場合は、通常のマイホーム特例とは条件が異なります。
売却後に確認するのではなく、解体や売買契約を進める前に、特例の対象になるか税理士や税務署へ相談したほうが安心です。



7.売却損が出た場合は確定申告しなくてもよい?



不動産を購入した金額より安く売却し、税務上も譲渡損失になった場合は、
原則として譲渡所得に対する税金は発生しません。

そのため、特例を利用しないのであれば、確定申告が不要になることもあります。

ただし、マイホームの売却で損失が出た場合、一定の要件を満たせば、
その損失を相殺できる特例や、控除しきれなかった損失を翌年以降に繰り越せる特例があります。

これらを利用するには確定申告が必要です。

また、税務上の損失が出ていると思っていても、
取得費を証明できないために概算取得費を使用すると、利益が発生することもあります。

譲渡所得を一度計算しておくことが重要です。



8.確定申告に必要な書類



一般的に必要になる書類は、次のとおりです。

・確定申告書
・譲渡所得の内訳書
・売却時の売買契約書の写し
・購入時の売買契約書の写し
・売却時の仲介手数料の領収書
・購入時の仲介手数料や諸費用の領収書
・解体費、測量費などの領収書
・登記事項証明書
・本人確認書類
・振込先口座が分かるもの
・特例ごとに指定された確認書類

契約書や領収書が不足している場合は、
早めに不動産会社、司法書士、金融機関などへ相談しましょう✳︎



9.不動産売却後の確定申告の流れ



確定申告は、次のような流れで進めます。


①.売却と購入に関する資料を集める

売却時と購入時の契約書、領収書、精算書などを準備します。

相続した不動産の場合は、被相続人が購入したときの契約書や、相続税申告書なども確認します。


②.譲渡所得を計算する

売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて、利益または損失を計算します。

建物の減価償却や共有持分がある場合は計算が複雑になるため、慎重に進めましょう。


③.利用できる特例を確認する

マイホームの3,000万円特別控除、10年超所有の軽減税率、相続空き家の特例、譲渡損失の特例などが利用できるか確認します。


④.申告書と譲渡所得の内訳書を作成する

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用して、パソコンやスマートフォンから作成できます。
e-Taxを利用すれば、税務署へ行かずに提出することも可能です。


⑤.申告と納税を行う

申告期限までに書類を提出し、納付すべき税金がある場合は納税します。

申告内容に不安がある場合は、税務署の相談窓口や税理士を利用しましょう。





10.確定申告の時期はいつ?



不動産を売却した場合の確定申告は、
原則として、売却した年の翌年2月16日から3月15日までに行います。

土日祝日の関係で期限が翌開庁日に変更される年もあるため、
毎年の確定申告期間は国税庁の案内で確認しましょう。

例えば、2026年中に不動産を売却した場合は、原則として2027年の確定申告期間に申告します。

税務上の譲渡日は、原則として買主へ不動産を引き渡した日ですが、
契約の効力が発生した日を譲渡日として申告できる場合もあります。

年をまたぐ取引では申告年に影響する可能性があるため、決済日と契約日が異なる場合は確認が必要です。



【まとめ】



不動産を売却して譲渡所得が発生した場合は、原則として翌年に確定申告が必要です。

税金は売却代金の全額にかかるのではなく、
売却価格から取得費、譲渡費用、特別控除を差し引いた課税譲渡所得をもとに計算します。

また、所有期間が5年を超えているかどうかによって税率が大きく変わります。
マイホームを売却した場合は、3,000万円特別控除や所有期間10年超の軽減税率を利用できる可能性もあります。

一方、売却損が出た場合でも、損益通算や繰越控除の特例を使うために申告が必要になることがあります。

不動産売却後の確定申告では、購入時の売買契約書や領収書が重要です。
売却が終わってから慌てないように、査定や売却活動の段階から資料を探し、費用の領収書を保管しておきましょう。

税額や特例の適用条件は、
物件の用途、所有期間、取得の経緯、住み替えの状況などによって異なります。

判断が難しい場合は、税務署や税理士などの専門家へ確認したうえで申告することが大切です❇︎


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