
不動産の共有名義とは?売却・相続・管理で注意したいポイント
【はじめに】
不動産を購入したり、
相続で実家を引き継いだりするときに、
「共有名義」という言葉を聞くことがあります。
たとえば、
夫婦で、夫と妻の2人名義にするケースや、
親が亡くなった後に、兄弟姉妹で実家を相続して共有名義にするケース等です。
ほかにも、
親子でお金を出し合って家を買う場合や、
複数人で土地を所有する場合にも共有名義になることがあります。
共有名義の不動産では、
誰がどれだけ持っているのか、売る時に誰の同意が必要なのか、
相続が起きたらどうなるのかをきちんと理解しておくことが大切です。
この記事では、
不動産の共有名義とは何か、
メリット・デメリット等をできるだけわかりやすく整理していきます。

1. 不動産の共有名義とは?
共有名義とは、
1つの土地や建物を複数人で所有している状態のことです。
共有名義では、それぞれの人が「持分」を持ちます。
⚪️ 持分とは?
その不動産に対してどれだけの権利を持っているかを表す割合です。
たとえば、
夫:2分の1
妻:2分の1
という持分で登記されていれば、
夫婦それぞれが半分ずつ権利を持っていることになります。
また、
夫:3分の2
妻:3分の1
というように、
出資割合に応じて持分を変えることもあります。
1つの不動産全体に対して、
それぞれが割合に応じた権利を持っているという考え方です。
⚪️ 共有名義になる主なケース
特に多いのは、夫婦で家を買うケースと、
相続で実家を共有するケースです。
夫婦で住宅を購入する場合は、
共働きで収入合算をしたり、
ペアローンを組んだりすることがあります。
その場合、住宅ローンの負担割合や出資割合に応じて
持分を決めることが一般的です。
相続の場合は、
とりあえず相続人全員の共有名義にしてしまうケースもあります。
しかし、
相続不動産を共有名義にすると、
後から売却や管理で意見が分かれることがあるため注意が必要です。

2. 共有名義にするメリット
共有名義には、
いくつかのメリットがあります。
メリット①:購入資金を出し合える
共有名義にする大きなメリットは、
複数人で資金を出し合えることです。
たとえば、夫婦それぞれが自己資金を出したり、
2人で住宅ローンを組んだりすることで、
単独名義よりも購入できる物件の選択肢が広がります‼︎
単独名義では希望の借入額に届かない場合でも、
収入を合わせることで住宅ローン審査に通りやすくなります。
共働き世帯が増えている今、
夫婦で協力して家を購入する方法として共有名義を選ぶ方も増えています‼︎
メリット②:住宅ローン控除をそれぞれ受けられる場合がある
夫婦それぞれが住宅ローンを組んで共有名義にする場合、
条件を満たせば、それぞれが住宅ローン控除を受けられる場合があります。
たとえば、
ペアローンを利用して夫婦それぞれが住宅ローンを借りて、持分を持つ場合です。
ただし、
住宅ローン控除には細かい要件があります。
・借入者本人が居住していること
・返済期間
・住宅の床面積
・省エネ性能
などの条件を満たす必要があります。
また、控除を受けられる金額は、
その人の住宅ローン残高や所得税・住民税の額にも関係します。
メリット③:出資割合に応じた権利を明確にできる
共有名義にすると、
誰がどれだけ不動産の権利を持っているかを登記で明確にできます。
たとえば、
夫が2,000万円、妻が1,000万円を負担して3,000万円の家を購入した場合、
夫3分の2、妻3分の1という持分にすれば、
実際の資金負担に近い形で権利を表せます。
これは、
将来的に売却したときの売却代金の分配や、
離婚・相続の場面でも重要になります。
3. 不動産を共有名義にするデメリット
共有名義は便利な面がありますが、
不動産実務ではトラブルの原因になることもあります。
デメリット⑴:売却するには共有者全員の同意が必要
共有名義の不動産を売却する場合、
基本的には共有者全員の同意が必要です。
たとえば、兄弟3人で相続した実家なら、
1人でも売却に反対すると、スムーズに売却できない可能性があります。
不動産は金額が大きい為、
共有者の意見が分かれやすいです。
特に相続で共有名義になっている実家は、
時間が経つほど共有者が増えることがあります。
デメリット⑵:共有者の1人が亡くなると権利関係が複雑になる
共有名義の不動産で共有者の1人が亡くなると、
その人の持分が相続の対象になります。
たとえば、兄弟3人で共有していた実家のうち、
1人が亡くなると、その人の配偶者や子どもが持分を相続することがあります。
すると、
共有者が兄弟だけでなく、
配偶者、甥、姪などに広がる可能性があります。
共有者が増えるほど、売却や管理の話し合いは難しくなります。
共有名義の不動産を長年放置すると、
権利関係が複雑になり、売りたくても売れない状態になることがあります⚠︎
デメリット⑶:修繕費や固定資産税の負担で揉めやすい
不動産を所有していると、
固定資産税や修繕費がかかります。
共有名義の場合、
これらの費用を誰がどれだけ負担するのかで揉めることがあります。
たとえば、
兄弟で共有している実家に長男だけが住んでいる場合、
固定資産税や修繕費を誰が払うのかが問題になります。
デメリット⑷:離婚時に揉めやすい
夫婦で共有名義にしている家は、
離婚時に問題になりやすいです。
特に住宅ローンが残っている場合は、
簡単に名義を変えることができません。
たとえば、
・どちらが住み続けるのか
・住宅ローンは誰が払うのか
・売却するのか
・片方の持分を買い取るのか
といった問題が出てきます。
そのため、
共有名義で住宅ローンを組む場合は、
将来のリスクも考えておく必要があります。
4. 共有名義のルールと仕組み
共有名義の不動産では、
何をするかによって必要な同意の範囲が変わります。
⚪️ 保存行為〈各共有者が単独でできること〉
保存行為とは、
不動産の現状を維持するための行為です。
たとえば、
・雨漏りを防ぐための応急修理
・壊れた部分の修繕
・不法占有者への対応
・建物の劣化を防ぐための最低限の管理
などが該当します。
保存行為は、不動産を守るために必要な行為なので、
共有者の1人が単独で行うことができるとされています。
⚪️ 管理行為〈持分価格の過半数で決めること〉
管理行為とは、
不動産の利用や改良に関する行為です。
たとえば、
・賃貸に出す
・一定の修繕を行う
・使用方法を決める
などです。
管理行為は、
共有者全員の同意までは不要ですが、
持分の価格に従って過半数で決める必要があります。
ここで注意したいのは、
人数の過半数ではなく、持分の過半数という点です。
⚪️ 変更・処分行為〈原則全員の同意が必要〉
共有不動産を売却したり、大きく変更したりする場合は、
原則として共有者全員の同意が必要です。
たとえば、
・不動産全体を売却する
・建物を取り壊す
・大規模な増改築をする
・抵当権を設定する
などです。
これらは共有者全員の権利に大きく影響するため、
1人だけの判断ではできません。
ただし、軽微な変更については
持分価格の過半数で決められる内容もあります。

5. 共有名義でトラブルになりにくい方法
共有名義の不動産でトラブルを防ぐためには、
最初の段階でできるだけルールを明確にしておくことが大切です。
⑴ 持分割合を資金負担に合わせる
実際の資金負担割合に合わせて持分を決めることが大切です。
資金負担と持分が大きく違うと、
贈与税の問題が出る可能性があります。
「夫婦だから半分ずつでいい」と安易に決めるのではなく、
頭金や住宅ローンの負担割合を確認しましょう。
⑵:共有者間で取り決めを書面に残す
共有名義にする場合は、
共有者間でルールを決めておくと安心です。
家族間では、どうしても口約束になりがちです。
⑶:相続では安易に共有名義にしない
相続で不動産を引き継ぐ場合、
安易に相続人全員の共有名義にしないようにしましょう。
公平に見えるかもしれませんが、
将来の売却や管理が難しくなる可能性があります。
共有以外の方法も検討することが大切です。
【まとめ】
不動産の共有名義とは、
1つの土地や建物を複数人で所有することです。
共有名義には、
・資金を出し合って購入できる
・条件を満たせば住宅ローン控除をそれぞれ受けられる場合がある
・出資割合に応じた権利を明確にできる
というメリットがあります。
一方で、
・売却には共有者全員の同意が必要
・相続で共有者が増えると複雑になる
・固定資産税や修繕費の負担で揉めやすい
・離婚時に名義やローンの整理が難しい
というデメリットもあります。
大切なのは、
最初に持分割合や費用負担をきちんと決めておくことです。
また、相続では安易に共有名義にせず、
将来売却しやすい形や管理しやすい形を考えることも大切です。
不動産は金額が大きく、家族の思い入れも強い資産です。
「とりあえず共有にする」のではなく、
将来の管理・売却・相続まで考えて、
トラブルになりにくい形を選ぶようにしましょう✳︎
