
建物の安全性はどこを見る?耐震・基礎・地盤・雨漏りの確認ポイントを解説
【 はじめに 】
住宅を探していると、間取りや広さ、キッチンの使いやすさ、外観のデザインなど、
つい目に見える部分ばかり気になってしまいます。
でも、実際に長く暮らすことを考えると、それ以上に気になるのが、
「この家は本当に安心して住み続けられるのか?」ということです。
・地震が起きたときに大丈夫なのか。
・雨漏りや腐食はないのか。
・基礎や地盤に問題はないのか。
・中古住宅なら、これまできちんと手入れされてきたのか。
こうした部分は、内覧で一度見ただけでは分かりにくいですよね。
特に中古住宅の場合、室内がきれいにリフォームされていても、
建物の内部や基礎、屋根などは築年数相応に劣化している可能性があります。
逆に築年数が経っていても、
定期的に修繕され、大切に管理されてきた住宅なら、状態が良いケースもあります。
住宅購入は、人生の中でも大きな買い物のひとつです。
だからこそ、間取りや価格だけではなく、
耐震性・基礎・地盤・雨漏り・建物の傾き・劣化状態なども確認しておきたいところです。
今回は、住宅を購入する前に知っておきたい「建物の安全性を見るポイント」について、
不動産初心者の私なりに一つずつ分かりやすく整理していきます。

1.「安全な建物」とは?
「安全な建物」と聞くと、
地震で倒れない家を想像する方が多いと思います。
もちろん耐震性は非常に重要です。
ただ、実際の建物の安全性はそれだけではありません。
例えば、
・構造がしっかりしている
・基礎に問題がない
・雨水が建物内部に入りにくい
・木材が腐食していない
・給排水設備が適切に維持されている
・火災時に安全に避難できる
など、さまざまな要素が関係します。
つまり安全性を見るときは、
「地震に強いか」+「建物が現在どのような状態なのか」の両方を見ることが大切です。
2.まず確認したいのが建築された「年代」
中古住宅で耐震性を考えるとき、一つの大きな目安になるのが建築時期です。
日本では1981年に耐震基準が大きく改正されました。
一般に1981年5月以前の基準を旧耐震基準、それ以降を新耐震基準と呼びます。
そのため中古住宅を見るときに、
「築何年ですか?」と確認することは、
単なる古さを見るだけではなく、耐震基準を確認する意味もあります。
ただし、
1981年以降なら絶対に安全という意味ではありません。
3.木造住宅では「2000年」も一つの確認ポイント
木造住宅では、1981年だけでなく2000年も一つの重要な節目です。
熊本地震では、新耐震基準で建てられた木造住宅でも、
2000年以前に建築された住宅の一部に倒壊などの被害が確認されました。
ただし実際の耐震性は、建築時期だけで決まるものではありません。
増改築の有無や劣化状態なども関係するため、心配な場合は耐震診断を検討します。
4.「耐震等級1・2・3」は何が違う?
新築住宅を探していると、
耐震等級3という表示を見ることがあります。
住宅性能表示制度では、耐震性能を等級1~3で表示できます。
耐震等級1は、建築基準法で求められる耐震性能と同程度。
耐震等級2は、その1.25倍の地震力。
耐震等級3は、その1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない程度とされています。
つまり、数字が大きいほど高い耐震性能を持つという考え方です。
ただし、ここでも注意したいのが、
「耐震等級3=地震が起きても絶対に壊れない」という意味ではないことです。
地震の規模や地盤、建物の劣化状況などによって被害は変わります。
5.建築基準法は「最低限の安全基準」
住宅を購入するときに知っておきたいのが、建築基準法の考え方です。
建築基準法に適合している住宅だからといって、
「最高レベルに安全な住宅」という意味ではありません。
建築基準法は、
建築物について最低限守らなければならない基準を定めています。
そのため住宅を比較するときは、
建築基準法に適合しているかだけでなく、
・耐震等級
・住宅性能評価
・長期優良住宅
など、プラスアルファの性能を見ることも一つの方法です。
6.2025年から木造住宅の構造審査が変わった
最近の新築住宅については、制度も変わっています。
2025年4月以降、木造2階建て住宅や延べ面積200㎡を超える木造平屋などでは、
建築確認時に構造関係規定等の審査が必要となりました。
以前のいわゆる「4号特例」では一部審査が省略されていましたが、その対象が縮小されています。
また、省エネ性能の向上によって、
・太陽光設備
・高性能な断熱材
・大型設備
などで住宅重量が増えることも考慮し、木造住宅の壁量基準なども見直されています。
新築住宅の安全性を確認する制度も変化しているということですね。
7.建物の安全性を見るなら「基礎」を確認
中古戸建てを見学するときに確認したいのが基礎です。
基礎とは建物の一番下にあり、建物の荷重を地盤へ伝える重要な部分です。
外周を歩いて、
・大きなひび割れ
・欠損
・鉄筋の露出
・不自然な補修跡
などがないか確認します。
もちろん、細い表面的なひび割れがあるだけで建物全体が危険とは限りません。
コンクリートには乾燥収縮によるひび割れが発生することもあります。
大切なのは、
ひび割れの幅・位置・方向・数などを総合的に見ることです。
気になる亀裂がある場合は、専門家に確認してもらう方が安心です。

8.家が傾いていないかも重要
建物安全性で気になるのが傾きです。
例えば室内に入ったとき、
・床が傾いている感じがする
・ドアが自然に開く・閉まる
・サッシが開きにくい
・壁に斜めのひび割れがある
などが見られることがあります。
建物の傾きには、
・地盤沈下
・基礎の問題
・建物自体の変形
などさまざまな原因が考えられます。
ただし、ドアが閉まりにくいだけで、
「不同沈下している」と判断することはできません。
建具そのものの調整不良の場合もあります。
疑わしい場合は水平器やレーザーなどによる測定を行います。
9.地盤が悪いと建物が良くても安心できない
建物の安全性を考えるときに忘れてはいけないのが地盤です。
どれだけ丈夫な建物でも、
その下の地盤に問題があれば沈下などが起こる可能性があります。
新築住宅では、地盤調査を行い、その結果によって、
・直接基礎
・表層改良
・柱状改良
・杭工事
などを検討します。
住宅性能表示制度でも、
地盤や杭の許容支持力、基礎の構造方法などについて情報を確認できる仕組みがあります。
10.シロアリや腐食も建物の強度に影響する
木造住宅では、
シロアリ被害も確認したいポイントです。
床下や柱などの木材がシロアリによって食害されると、構造部分の強度が低下する可能性があります。
床下は見えない部分も多いため、通常の内覧だけでは判断できません。
築年数が経過した木造住宅では、専門家による床下調査も検討したいところです。
11.外壁のひび割れは全部危険?
外壁にひび割れがあると、
「この家は危ないのでは?」と思いますよね。
ただし、外壁のひび割れも原因はさまざまです。
表面の仕上げ材だけに発生しているものもあれば、構造や建物の動きに関係している場合もあります。
特に、
・斜め方向の大きなひび割れ
・基礎から外壁まで連続する亀裂
・何度補修しても再発している亀裂
などは、原因を確認した方がよいでしょう。
単にコーキングで埋めればよいのか、構造的な確認が必要なのかは専門家の判断が必要です。
12.中古住宅なら「建物状況調査」という方法がある
中古住宅で、
「自分では建物の状態を判断できない」という場合に利用できるのが
建物状況調査(インスペクション)です。
建物状況調査は、既存住宅の基礎や外壁などについて、
・ひび割れ
・雨漏り
・その他の劣化・不具合
の有無を目視や計測によって確認する調査です。
調査は、国の登録講習を修了した建築士である既存住宅状況調査技術者が行います。
中古住宅の購入前に建物状態を知る一つの方法として利用できます。
13.インスペクションをすれば100%安心?
建物状況調査をしたからといって、
「この家には絶対に欠陥がありません」と保証されるわけではありません。
例えば壁の中や床下の見えない部分まで、すべてを解体して確認する調査ではありません。
ただ、「購入前に分かる範囲を専門家に確認してもらう」という意味では非常に有効です。
14.「確認済証」と「検査済証」
建物の書類として、
確認済証と検査済証という言葉があります。
確認済証は、
建築工事を始める前に設計内容が建築基準関係規定に適合しているか確認されたことを示す書類です。
一方、検査済証は建物完成後に完了検査を受け、
建築基準関係規定への適合が確認された際に交付されるものです。
中古住宅を購入する場合、これらの書類が残っているか確認しておくとよいでしょう。
15..住宅性能評価書がある住宅は内容を確認
新築住宅や一部の中古住宅では、住宅性能評価書がある場合があります。
住宅性能表示制度では、
・耐震性
・耐風性
・劣化対策
・維持管理
・断熱性能
などを共通の基準で評価します。
例えば耐震等級だけではなく、劣化対策等級なども確認できます。
つまり、
「新築だから大丈夫」だけで判断するのではなく、
どのような性能評価を受けている住宅なのかを確認できるということです。

16.周辺環境まで含めて「建物の安全性」を考える
建物自体が丈夫でも、周辺環境によってリスクが変わります。
例えば、
・洪水
・土砂災害
・高潮
・津波
などです。
そのため住宅購入では、
建物だけを見るのではなくハザードマップも確認します。
また、
・擁壁のある土地
・高低差の大きい土地
・崖に近い土地
などでは、土地そのものの安全性も確認が必要です。
「家の安全性」と「土地の安全性」はセットで考えるのが重要ですね。
【 まとめ 】
建物の安全性について調べてみると、単純に、
「新しい家だから安全」「古い家だから危険」というものではないことが分かります。
確かに建築時期は耐震基準を判断する重要な材料です。
しかし実際には、
・どのような耐震性能で建てられたか
・地盤や基礎に問題がないか
・雨漏りや腐食がないか
・これまで適切に修繕されてきたか
といった部分も重要です。
特に中古住宅では、同じ築30年でも、
定期的に外壁・屋根を修繕し、雨漏りもなく適切に管理されてきた家と、
ほとんどメンテナンスされていない家では、現在の状態が大きく違うことがあります。
だからこそ住宅購入では、
「築何年ですか?」だけではなく、
「今、この建物がどのような状態なのか?」を見ることが大切です。
自分で判断するのが難しい場合には、
インスペクションなどを利用して専門家に確認してもらう方法もあります。
家は、購入して終わりではなく、何十年も家族が暮らしていく場所です。
間取りやデザインだけでなく、
耐震・地盤・基礎・雨漏り・劣化まで含めて建物を見ることが、安心できる住宅購入につながるのだと思います。
※本記事は2026年9月時点で確認できる国土交通省等の公表情報をもとにした一般的な解説です。
建物の安全性は構造、築年数、劣化状況、地盤、増改築履歴などによって異なります。
具体的な住宅について安全性を判断する場合は、建築士などの専門家による現地確認・耐震診断・建物状況調査等をご検討ください。
